Vol.1 No.2 2008
66/92
インタビュー−144 Synthesiology Vol.1 No.2(2008)トヨタ自動車は何をしたいか赤松 企業から見ると、国の研究所や大学は基礎的な研究が多いわけですが、研究成果が実際の社会に出ていくまでに、どうしてもギャップがあり、場合によってはそのまま埋もれ去っていくこともあるわけです。我々は「産業技術総合研究所」ということで、研究開発の成果を産業に活かすために、いかにして「死の谷」や「悪夢の時代」を乗り越えることができるかを発足当時から議論してきました。研究にはいろいろなタイプがあります。1つのことを深く追求していく研究もありますが、実際の製品になるために、いろいろな技術を組み合わせることによって初めて使えるものになることもあります。トヨタ自動車での基礎研究が実際に製品化されるというときに、どういうプロセスを経ているのでしょうか。梅山 自動車という事業を軸にして、私たちは何を目指しているのか、ということがまずベースにあります。いい車をつくるだけでなく、「環境」「安全」「快適」を考え、人間と都市と車の調和を図る。「走れば走るほど空気がきれいになるクルマ」「満タンで世界一周できるクルマ」「絶対にぶつからないクルマ」「乗れば乗るほど健康になるクルマ」という、本当にできるのかな?と思うことでも目標にして考えてみようじゃないか、という提案をしています。それらを達成するために、必要になると思われる技術全体を俯瞰してコアの要素技術を定義します。研究開発のプロセスとしては、先端研究、先行開発、製品開発があります。研究開発への取り組み -キーマンを回す-赤松 先端研究、先行開発、製品開発の3段階になっトヨタ自動車グループにおける基礎研究から製品化への流れについてー 技術統括部 梅山部長へのインタビュー ーシンセシオロジー編集委員会インタビュアー:赤松 幹之(編集幹事)トヨタ自動車(株)は世界最大級の自動車メーカーであり、日本で最も成功している製造業であるといっても過言ではないであろう。技術的には世界に先駆けてハイブリッド自動車を実用化するなど、社会のあるべき姿をにらみながら、従来の自動車という概念にとらわれずに新しい技術の社会への導入を行っている企業である。自動車に関係しない技術はないといわれるほど自動車は様々な技術の集合体であり、豊田中央研究所を含めたトヨタグループ自動車全体の技術の開発を統括しているのが同社の技術統括部である。その技術統括部の梅山部長にインタビューを行い、トヨタ自動車における基礎研究から製品化までの流れや、『シンセシオロジー』に対する期待などの話をうかがった。(63)−
元のページ