Vol.1 No.2 2008
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−142 Synthesiology Vol.1 No.2(2008)インタビュー:シンセシオロジーへの期待の方が通常だという言われ方もされますがそうでしょうか。第2種基礎研究ではどうですか。レスター 第1種でも両方法それぞれに役目があると思いますし、第2種でも同じです。ただ、解釈的方法は会話のようなものです。実際には会話ではないが、会話に似たものです。第1種と第2種の違いは、第1種の場合、その会話は同じ学問分野(discipline)の者か、生化学のように2つの分野の者との間で行われます。でも第2種の場合は、科学分野の人々と実践現場の人々との間の会話です。これが大きな違いです。その違いは、その会話の中に誰が含まれるかということなのです。査読者と読者について小林査読者と読者についてご意見をお伺いしたいと思います。第1種基礎研究では、読者は学問分野 (discipline)内の人で、知識の最先端がどこにあるかをよく知っている人がほとんどです。第2種基礎研究や『シンセシオロジー』の場合、読者は多種分野の人、分野外の人、企業の人などです。だから様々なタイプの査読者が必要だと思います。レスター 論文の社会的適合性を判断するには、その適合性を評価できる人が必要です。新ジャーナルの難問は、内容が多数の分野、多数の適用領域にわたるため、とても広い読者層を持つことです。創刊号を見ても、健康管理、環境規制、個人の健康についての論文があります。難しいのは個人の健康管理について知識が豊富だが、環境規制について何も知らない読者をいかに引き付けるかだと思います。もし読者が構成方法に関心があり、論文が構成学の手法を記述しているのであれば、1つの論文のみならず、他の領域の論文にも興味を持つかもしれません。小林それこそ我々の目指すところだと思います。第2種基礎研究の概念がまだあまり世の中に知られていませんので、創刊号の査読者は全員産総研内の人ですが、これからは外の世界へ広げて行かなければなりません。次回以降では第2種基礎研究について知識と理解がある外部の人を査読者として招きたいと思っています。将来は審査過程を他の学術誌のように産総研外で行いたいと思っています。技術構成の学術誌にするには小林最後の質問になります。先端技術を扱う日本の企業には技術者にとって役立つたくさんの公開または非公開の技術報告書があります。しかし、これらはレスター教授小林 直人 氏(61)−課題だと思います。第2種でもよく理解された課題がありえます。例えば、様々な健康上のリスクを比較するための枠組みを開発しなければならないとします。これは実際的な問題で、難しいけれども、問題を定義し、一生懸命研究して解決するかもしれません。しかし、第1種、第2種双方に問題が理解されず、また定理がはっきり分からない別な状況もあります。例えば数学でいくつかの違う部門が1つの状況に取り組んでいるがお互い一貫していないし、問題の一部しか見ていないとします。しかしお互いに話し合って別々な観点を持ち寄るうちに、解かなければならない問題があることを発見します。第2種でも同じようなことがあります。例えば、ある企業、または企業の研究者やエンジニアが規制当局とある化学物質や製品の基準を設定する話し合いをするとします。規制側は開発中の化学物質を見て、他の企業が似たような物を開発していると思い、他の企業も引き込む会話が始まり、話し合ううちに異なる化学物質間の優劣やリスクの序列が見えてくるかもしれません。しかし話し合いを始めた時はそのような可能性は思い当たらなかったわけです。第1種と第2種双方に当てはまるこの2つ目の状況では、問題が最初ははっきりしていないのです。そして私の本の中で明確にしたかった分析的アプローチと解釈的アプローチの違いは、この2つ目の状況では、後者のアプローチが、問題が理解されていない状況から理解される方へ移動させるということです。問題が不明確な状況から問題が理解される状況へ移動する過程を解釈過程と呼び、そして問題が理解されたら、分析方法で解くのです。そして、両方の過程が大事で、簡略化されずに行うことが大事だと説いているのです。この分析的と解釈的アプローチは第1種と第2種基礎研究の双方で行わなければなりません。そして製品実現においても解釈と分析が必要なので関連があります。小林第1種基礎研究では解釈的方法より分析的方法

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