Vol.1 No.2 2008
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−141 Synthesiology Vol.1 No.2(2008)インタビュー:シンセシオロジーへの期待ませんでした。先端的なデバイスを作るのにレンズなどの部品に微細な構造をインプリントしなければなりませんが、光学素子にそれを行うのはとても難しかった訳です。しかし、最近彼がリードした研究プロジェクトの中で新しい方法が開発され、高性能で低コストの光学素子を作るために彼らはこのモールド法とインプリント法を合体させました。これはモールド法とインプリント法の良い組み合わせで、とても独自性があります。レスター この例では、既存の技術と新技術を組み合わせたのですね。インプリント法の新しい進歩を識別し、それが従来の方法と結合できると判断したところが、執筆者の大きな貢献ですね。それはとてもよい貢献です。もっと高いレベルの貢献、もっと最先端の統合も可能かもしれません。それは、執筆者が要素の1つまたはより多くの要素が修正されれば統合の可能性があることを明記し、結合する前に実際にその修正を提案するのです。これはより貴重で独自性の高い貢献になるかもしれません。小林執筆者と話すうちにいくつかの異なる構成の方法のタイプがあることに思い当たりました(下図参照)。ご存知だと思いますが、1つはヘーゲルが主張したアウフヘーベン(止揚)に似ていまして、異なる2つのテーゼから新しいコンセプトを作り出すことです。2つ目はブレークスルー的なタイプです。重要な鍵となる技術を生み出し、それは単独では何もできないので、周辺の他のいくつもの技術を結合させます。3つ目はもっとシナリオ主導か戦略主導で、選択と構成を行うタイプです。これらは物を製造するのとは少し違うかも知れません。これらの場合の要素技術の重要性はほぼ同等ですが、それらを選択し構成するのに戦略性が必要とされます。全くの私見ですが、今回の『シンセシオロジー』の6論文は、概ねこの3つの構成方法に関連していると思います。レスター 第2種基礎研究を第1種基礎研究から区別する特徴は、第2種基礎研究は結末から始めるところだと思います。つまり到達したい実践的な目標があり、それが構成の動機になります。第1種基礎研究でも構成は可能ですが、世の中での実践的目標によって導かれていないのです。私の理解では、第1種と第2種の違いは第2種には統合があり、第1種にはないということではないと思います。構成・統合は双方にあります。第1種と第2種の違いは、第2種の統合の理由が「実践上の目標を達成する」ためであることで、その実践的な目標と統合の機会との間を摸索する必要があります。しかし、第1種の場合は、実践的な目標がなく、「構成や統合の機会」が動機になります。ご存知の通り、第1種基礎研究の中で生化学のように異なる分野が一体となることがあります。これは2つの分野の統合または合成です。しかし、この知識の前進は実践的な目標のためではなく、2つの分野で一体になる好機があったからです。教授の著書「Innovation」との関連性小林イノベーションについてのあなたの著書注4)の中で、分析的アプローチと解釈的アプローチについて述べておられます。今までの議論と何か関連している部分や似た部分がありますか。レスター この本で私が述べた分析方法と解釈方法の違いは製品開発や新サービス開発に当てはまるもので、基礎研究の方法としてではないので少々難しいですが、関連付けて話すことは可能です。研究でも製品開発でも、2つの状況がありえます。1つの状況は問題がよく理解されており、課題はその問題を解くことです。問題はとても難しいかもしれません。例えば数学で、一度も解かれたことのない定理があるとします。解くのに10年、あるいは50年かかるかもしれない、でもよく定義されているこのような数学の定理は第1種基礎研究のリチャード・レスター 氏統合技術技術要素A技術要素B統合技術統合技術重要技術要素A技術要素A技術要素B技術要素C周辺技術要素B周辺技術要素C1.アウフヘーベン型2.ブレークスルー型3.戦略的選択型図 構成方法のタイプ(60)−

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