Vol.1 No.2 2008
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インタビュー−139 Synthesiology Vol.1 No.2(2008)MITのRichard K. Lester教授は、イノベーションの実践において産業界や大学などの各セクターが果たす役割について豊富で深い調査に基づく独自の考えをお持ちです。その際、明確な問題を設定しその解決を図る従来からの分析的アプローチに加えて、会話によって方向性を探っていく解釈的アプローチが大切であることを主張しておられます。今回は、第2種基礎研究に関する論文を中心として新たに創刊した学術誌『シンセシオロジー』についてインタビューし、色々のご意見を伺いました。「シンセシオロジー」について小林この度、我々が発刊した『シンセシオロジー』は第1種基礎研究注1)ではなくて、概念や技術の構成や統合が重要な役割を果たす第2種基礎研究注2)と製品化研究注3)に関する論文を掲載しています。まず、このジャーナルについてどのような印象をお持ちですか。レスター 非常に貴重な役割を果たしていると思います。私の理解したところでは、このジャーナルはいくつかの異なる理由で普通のジャーナルには掲載されにくいタイプの研究論文を扱っています。すでに実在するジャーナルは、実際的目標を動機とする論文を相応しくないと考え、特に学術誌では、実際的目標に言及することなく、テーマがその学問分野(discipline)または知識の状態を前進させる研究が対象でなければならず、このタイプの研究は掲載されにくいのです。もう1つの理由は、これらの研究は企業や組織内で行われていることです。そこでは研究が知的所有権の重要な役割を果たします。その研究情報が実際には独占権を持つ理由がないのに、組織内のほかの仕事が独占的なために、当然これらの研究も含まれると考えられているのです。ですから普通は公共の目に晒されないのです。このように、普通は掲載されないこの種の研究に発表の機会を与えるこのジャーナルは、非常に歓迎されると思います。小林 このような学術誌または論文集をご覧になったことがありますか。レスター いくつか似たような目的を果たしているジャーナルはありますが、それらは普通は専門家による論文審査(ピアレビュー)を行っていないと思います。例えば、アメリカには電力研究所(EPRI)やガス技術研究所(GTI)のように特定な実際的任務、研究任務を持つ組織がいくつかあり、それぞれジャーナルがありますが、これらはこの新ジャーナル『シンセシオロジー』とは少し違うと思います。なぜならば、今も言った通り、まず、ピアレビューが行われていません。それから、それらのジャーナルはあまり原理的や基礎的ではなく、より製品実現やサービス実現寄りな場合が多いです。論文の執筆要件について小林我々はこのジャーナルのための執筆要件を作りました。それぞれの論文は社会における目標があり、その目標を達成するためのシナリオと、構成要素(これは第1種基シンセシオロジーへの期待ー MITレスター教授へのインタビュー ーシンセシオロジー編集委員会インタビュアー:小林直人(編集副委員長)(58)−

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