Vol.1 No.2 2008
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研究論文:エアロゾルデポジション法(明渡ほか)−138 Synthesiology Vol.1 No.2(2008)執筆者略歴明渡 純(あけど じゅん)1984年早大理工学部応用物理学科卒、1988~1991年同理工学部助手をへて、1991年通産省工業技術院機械技研入所、2001年から独立行政法人・産業技術総合研究所グループ長。工学博士。大学時代に光磁気記録、光センサーの研究で材料開発からデバイス開発まで幅広く関わり、バーコードリーダーを製造するベンチャー企業で商品開発も手がける。機械技術研究所入所後、1994年頃から現在の研究(AD法)を着想。2002年から5年間、NEDOナノレベル電子セラミックス材料低温成形・集積化技術プロジェクトリーダー。本論文では主にAD法とメタルベース光スキャナーの開発を担当、さらに省エネ効果の検証、全体構想の取りまとめを担当した。中野 禅(なかの しずか)1989年工業技術院機械技術研究所入所以来、イオン注入技術等を用いたマイクロマシン技術の開発に取り組む。材料表層の有効な機能発現を検討。2001年NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)出向を経た後エアロゾルデポジション法等の利用技術にも取り組み、微小重力実験やオンデマンド製造技術の開発に従事している。博士(工学)電気通信大学(2003年)。本論文では主に小型AD装置も含む、オンデマンド製造システム全体にわたる装置開発を担当した。朴 載赫(ぱく じぇいひょく)2004年産総研入所。新規の光学材料開発及び光デバイスへの実用化に向け、AD法を用いた磁気・電気光学用透明ナノコンポジットに関する研究開発を行い、超高速マイクロMEMSスキャナーの実用化研究とこの光デバイスに関連したオンデマンドMEMS小型製造装置の開発も進めている。豊橋技術科学大学大学院工学研究科電子情報工学専攻修了(2003年)。本論文では主にメタルベース光スキャナーの開発を担当した。馬場 創(ばば そう)科学技術振興事業団プレベンチャー事業研究員を経て2003年産総研入所。NEDOプロジェクトの中で従来困難であった金属基板上の高性能圧電厚膜アクチュエーター実現のためにレーザー援用エアロゾルデポジション法の開発に従事してきた。現在はエアロゾルデポジション法を利用したオンデマンド製造及びプロセス高度化技術に関する研究を行っている。大阪大学大学院工学研究科マテリアル応用工学専攻博士後期課程修了(2001年)。本論文では主にオンデマンド製造システムの熱処理工程(レーザー援用AD法)の開発を担当した。芦田 極(あしだ きわむ)1998年千葉大学大学院博士課程修了後、通産省工業技術院機械技研入所。「小さなものは小さな機械で作る」というコンセプト「マイクロファクトリ」に基づいて、ポータブルファクトリなどの「小さな加工機械」の試作開発と、「小さな機械加工」を目指したマイクロ・ナノスケール機械加工技術に関する研究を進めている。本論文ではオンデマンド製造システムの開発において、共通小型ユニットセルの連結により生産ラインを自在に構築・再構築可能なシステムアーキテクチャおよび搬送装置の設計、並びに最初の工程となるマイクロプレス加工セルの開発を担当した。査読者との議論 議論1 全体構成について質問(五十嵐 一男)AD法の特徴とその適用例が製造革新に繋がることを現した論文となっており、本ジャーナルの主旨に適した内容となっています。しかし、各サブタイトルの付け方と内容の展開が必ずしも一致していないため理解を複雑化しています。適切なサブタイトルを検討することで論文タイトルにある低コスト、省エネ製造への取り組みがハッキリしてくると考えます。回答(明渡 純)ご指摘のとおりです。上記趣旨を汲んだ形で修正させていただきました。議論2 AD法の導入・実用化に介在する問題点質問(五十嵐 一男)静電チャックの製造において、AD法を適用すると約80 %の消費エネルギー削減と1/10の製造工程時間の短縮が図られたとされていますが、このような技術革新は実際の製造ラインにどの程度採用されているのでしょうか。進みつつあるのであればその辺を触れられてはどうでしょうか。一方、採用が進んでいないとしたらそれを阻んでいる要因は何かについても簡単に触れてはどうでしょうか。回答(明渡 純)原稿でも触れましたが、現在、プラズマ耐食コーティング部材で本格的な事業化が開始されようとしているところです。(4月13日付、化学工業日報に掲載)工程消費エネルギーの低減や工程時間の短縮については、生産量や導入するAD装置の台数にも依存し、単純には評価できません。ここでは、企業さんの想定される設備導入コストと生産台数に基づいて換算しております。このほか省エネ性という点では製品歩留まりなど他のファクターも入り、非常に複雑で、実用化には、あくまで最終的な製品コストがどうなるかで決まると考えられます。また、AD法のように、これまでに実績のない新規な製造プロセスの導入、実用化には、たとえ性能面、コスト面で十分に見合ったものであっても 信頼性の検証には、サンプル出荷などを通して相当な時間をかける必要があり、実用化に時間がかかりました。ここで取り上げた光スキャナーでも、耐久試験に約1年半の時間を費やしております。議論3 ミニマルマニュファクチャリングコンセプトとの対応質問(五十嵐 一男)まとめと将来展望において、トータルに最適化された(ミニマルな)および大幅な最適化(ミニマル化)と記載されていますが、これだけではミニマルの意味が良く理解されないように思います。これがミニマルマニュファクチャリングを指しているのであれば明確にするため注釈を加えてはどうでしょうか。回答(明渡 純)ご指摘のようにこの研究はミニマル化を目指したものです。その意味で、「最小のインプット(省資源、省エネルギー)にして、高い実用性(高生産性、低コスト)を持ちながら、最大限の機能(新機能、高性能)を発揮するという「ミニマルマニュファクチャリング」のビジョン」という文言を文中に追記しました。(57)−
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