Vol.1 No.2 2008
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研究論文:エアロゾルデポジション法(明渡ほか)−137 Synthesiology Vol.1 No.2(2008)製造装置としてはまだ多くの修正、改善が必要であるが、製造設備開発とデバイス設計の同時的な最適化、進化がはかれるところも利点と捉えている。前節で述べたメタルベース光スキャナーは、この生産システムによる試行錯誤と計算機シミュレーションにより最適設計・製作された。その結果、1ラインあたり、1デバイス/minという生産スピードの実現に目処を得ている。これは月産約2~3万個の量産量に当たる。このような製造工程に置き換えることにより、デバイス性能を向上する中で、表1に示すように、従来Si微細加工設備を利用する場合と比較して、エネルギー消費、設備設置面積、製造時間の大幅な削減、環境負荷の低減が可能なことが確認された。5 まとめと将来展望AD法の特徴を最大限に利用し、製品性能の高機能化と低コスト化を両立させ、環境負荷の小さなオンデマンド製造技術の構築を試みる検討を行った。AD法は、機能性材料を利用する工程において、常温成膜が可能で、高い成膜速度、エッチングレスの局所加工などの特徴を持っている。静電チャックと光スキャナー製造について検討した結果、デバイス構造、製造工程の簡略化とプロセスタクトタイムの向上、プロセス装置の簡素化という要素が有効に働き、これを元に材料、素材レベルからのデバイス設計の見直しを行うことで、性能向上と低コスト化、あるいは製造過程での環境負荷低減を両立させたものづくりが可能なことが明らかになった。また、その過程で、量産装置としての改造も加えられ、製造設備開発とデバイス設計の同時的な最適化が図れるメリットもあることが判った。最小のインプット(省資源、省エネルギー)にして、高い実用性(高生産性、低コスト)を持ちながら、最大限の機能(新機能、高性能)を発揮するという「ミニマルマニュファクチャ参考文献床面積電力(kWh/年)製造時間環境負荷シリコンリソグラフィ型MEMSファクトリオンデマンドファクトリ300 m2(付帯設備込みだと1000 m2)3600008000(1/45)10 m2(1/30~1/100)設計目標値 1分/1個(1/10~1/1)ほとんど不要(大幅削減!)レジスト等捨てる材料プロセスガス洗浄工程約12分/1個(プロセス時間/ウエハーあたり個数)約1.2分/1個(10枚1バッチ)表1 MEMS製造システムとしての比較リング」のビジョンを示した一例といえよう。もちろん、ここで取り上げたMEMSデバイスなどは、一般的にはAD法の導入だけで効果的に最適化されるものではないが、逆に現在知られる要素プロセスに更なる進展があれば、より広い用途に対しても大幅な最適化(ミニマル化)が可能であろう。今後は、このような思想に基づき、材料レベルからデバイス製造レベルまで見直しながら様々な新規プロセスの導入効果について検証を進めて行きたい。キーワードエアロゾルデポジション、AD法、光スキャナー、オンデマンド、省エネ、電子セラミックス、圧電、MEMS 日経ものづくり編集部:部品実装にもセル方式,日経ものづくり 2007年1月号,日経BP社,93(2007).明渡純,M. Lebedev:微粒子,超微粒子の衝突固化現象を用いたセラミックス薄膜形成技術-エアロゾルデポジション法による低温・高速コーティング-,まてりあ,41(7), 459-466 (2002).J. Akedo: Aerosol deposition of ceramic thick films at room temperature: Densification mechanism of ceramic layers, J. Am. Ceram. Soc., 89 (6), 1834–1839 (2006).新エネルギー・産業技術総合開発機構「ナノレベル電子セラミックス材料低温成形・集積化技術」第2回プロジェクトワークショップ講演資料,新エネルギー・産業技術総合開発機構&製造科学技術センター(2007).新エネルギー・産業技術総合開発機構:平成16年度NEDOエネルギー使用合理化技術戦略的開発/エネルギー有効利用基盤技術先導研究開発「衝撃結合効果を利用した窯業プロセスのエネルギー合理化技術に関する研究開発」プロジェクト成果報告書(2005).M. Bayer: Retinal scanning display - a novel HMD approach to army aviation head and helmet-mounted displays VII, Proc. SPIE 4711, Orlando, Florida, 4557(2002).N. Asai, R. Matsuda, M. Watanabe, H. Takayama, S. Yamada, A. Mase, M. Shikida, K. Sato, M. Lebedev and J. Akedo: A novel high resolution optical scanner actuated by aerosol deposition PZT films,Proc. of MEMS 2003, Kyoto, Japan, 247-250 (2003)J. Akedo, M. Lebedev, H. Sato and J. H. Park: High-speed optical microscanner driven with resonation of lamb waves using Pb(Zr,Ti)O3 thick films formed by aerosol deposition,Jpn. J. Appl. Phys., 44, 7072-7077(2005).Y. Kawakami and J. Akedo: Annealing effect on 0.5Pb(Ni1/3Nb2/3)O3-0.5Pb(Zr0.3Ti0.7)O3 thick film deposited by aerosol deposition method,Jpn. J. Appl. Phys., 44,6934-6937 (2005).[1][2][3][4][5][6] [7] [8][9] (受付日 2008.1.29,改訂受理日2008.3.14)(56)−

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