Vol.1 No.2 2008
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研究論文:エアロゾルデポジション法(明渡ほか)−135 Synthesiology Vol.1 No.2(2008)げ変位が誘起され(ユニモルフアクチュエータとして働き)、板波を発生させ、これでミラー部を共鳴励振してミラー部で反射したレーザー光を高速走査する。図7に従来のSi-MEMSで製作された光スキャナーとの性能比較を示す。同一駆動電圧で比較されており、横軸は共振周波数、縦軸はミラーサイズ×光ビームの走査角度で、ミラー部振れ角の標準的な評価指標である。共振周波数は空気中で100 Hz~90 kHzと広範囲に設計でき、光ビームの走査角度も最大95°が得られた。また、超精密研磨加工されたステンレス板材を用いることで、パンチで打ち抜き加工されたミラー部も2 mm角サイズに対し、λ/4~λ/8程度の平坦性が得られており、本光スキャナーの用途に適応できるレベルにある。Siウエハを素材として用いた場合、このような大きなミラー走査角度を、10 kHz以上で実現することは、降伏限界を超えたねじれ梁の破損や共振周波数の低下により実現困難である。図8に示すように、最大走査周波数:61 kHz、最大光ビーム走査角:75°で1年間以上の連続動作試験の結果、共振周波数の低下や光ビーム走査角度の劣化はみられず金属疲労という観点からも実用的な耐久性を有することが確認された。また、ステンレス素材を用いることで、耐衝撃性を大幅に向上することができ、モバイル機器、車載装置への応用が期待できる。さらに、スキャナー構造がステンレスであるので、それ自体を下部電極にできるため、スパッター法などによる3層構造の下部電極形成工程が省かれて製造工程は大幅に簡略化され、設備導入コストが従来のSi微細加工設備と比べて低く抑えられることなどでデバイスの低コスト化が期待される。以上の結果から、大走査角の高速光スキャナーの実現という課題に対し、AD法が金属基板上に良質の圧電膜[9]を直接形成できる点を最大限に生かし、かつ、従来機械加工技術と組み合わせることで、シリコンマイクロマシニングをベースとした従来の設計思想を凌駕しうる高性能化と低コスト化が両立できることが確認できた。4.3 多品種・変量製造システムへの適用先の光スキャナー製造上のAD法の有効性を生産レベルで検証することと、カスタムメイドが要求される医療用マイクロデバイスなどさらに多品種・変量的な生産が要求されるセンサ、アクチュエータ部品に応用展開するための試みとして、図9に示すような機械加工の迅速、多様性とAD法やレーザー加工、インクジェット法など、オンデマンド性の高い機能材料の形成・加工技術を駆使した製造システムの開発を行った。電子機能デバイスの製造工程にもかかわらず、マスクレスで多品種・変量生産に対応できる製造プロセスを目指した仕様となっている。以下にその構成要素の詳細と検討結果を述べる。AD法は、その原理の単純さから装置スケールをロールツーロールからデスクトップ規模まで容易にスケール変化さ経過日数共振周波数 (kHz)7060504030201000100200300400500600(2006/3/6~),61kHz,33°(2006/12/14~),30.5kHz,32°(2006/9/15~),15.3kHz,43°(2006/4/3~),6.4kHz,75°4連順送りパンチプレス機(スキャナー構造形成)マイクロAD装置(圧電膜形成)マイクロ電気炉(熱処理工程)インクジェット装置(配線工程)動作確認・基本セル(W500×D800×H1200)を連結・基本セルが搬送を受け持つ。 ー小型で一人でも動かせる ー容易に組み替え可能・中に、プレス加工機、AD成膜などを組み込む。 ーテストでは5台、プレス、AD、アニール、IJ配線、検査等・AC100 Vで動作。図8 メタルベース光スキャナーの耐久性図9 オンデマンドMEMS製造システムコンパクト・卓上機汎用・実験機量産・大型機小型・実験機成膜工法の シンプルさから 装置サイズの 自由度は高い!航空機搭載・無重力実験の実績(成膜面積:50cm×50cm)(成膜面積:5cm×5cm)(成膜面積:1cm×1cm)(成膜面積:2cm×2cm)図10 様々なサイズのAD装置(54)−

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