Vol.1 No.2 2008
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研究論文:エアロゾルデポジション法(明渡ほか)−134 Synthesiology Vol.1 No.2(2008)Si-MEMS光スキャナーへの適用を検討した。このようなスキャナーは、次世代レーザープリンターやバーコードリーダ、ITS用レーザーレーダなどへの応用、さらにはマイクロプロジェクターや網膜投射型ディスプレーなど次世代表示デバイスのキーコンポーネントとして広範囲の応用展開が期待され、数10 kHz以上の高速走査と20°以上の大振幅動作、ミリメーターサイズのミラーと動作時の撓み(歪み)の低減や低電圧駆動が要求されている[6]。このデバイスの製造工程では、まずSiマイクロマシニングでスキャナー構造を形成し、駆動源となる圧電膜を必要な部位にだけ形成する。従来、このようなアクチュエータ構造を形成するには、ウェットやドライエッチングによるバルクマイクロマシニングで構造形成し、スパッター法やCVD法、ゾルゲル法などを利用し上部・下部電極層や圧電層の堆積を行うが、圧電層の形成に基板加熱が必要となる。また、成膜材料の構造側面への回り込みを避けるため、工程数の少ないリフトオフ法やマスク法は用いられない。この時、各材料層を堆積するつどエッチングによりパターニングを行うことになり、高価な微細加工装置や成膜装置と20工程以上のプロセスが必要であった。これに対し、AD法を用いた場合、微細加工されたSiのスキャナー構造上の必要な箇所だけに圧電膜を精度よく形成できるので、圧電膜や電極層のエッチング工程が不要になり成膜速度の向上と相まって大幅な工程短縮や設備導入コストの低減が可能となっている。性能面では、走査周波数:33.4 kHz、光ビーム走査角30°という結果が得られており、従来の静電駆動型MEMS光スキャナーや電磁駆動型MEMS光スキャナー、圧電駆動型MEMS光スキャナーを超える高速、大振幅走査の光スキャナーが実現できた[7]。これは、圧電膜の厚さをプロセス上簡単に厚くでき、その結果、駆動源の発生力が大きくなり、剛性の高いSiねじれ梁構造を採用できたためである。4.2 メタルベースMEMSスキャナーへの展開とデバイス設計への反映AD法が基板材料を選ばす高性能な圧電膜が形成できる点に着目し、より安価で耐衝撃性に強く実用的な小型アクチュエータを目指して、メタルベースのデバイス化を検討した[8]。図6は、図5に示したMEMS光スキャナーに対し、スキャナー部本体をSiからステンレス基材に置き換え、パンチ加工による打ち抜きでミラー部、ねじれ梁部などを含むスキャナー構造全体を形成し、これにAD法で圧電膜を直接形成して製作された、板波共鳴型の高速マイクロ光スキャナーの製造工程である。基板部に形成されたAD圧電膜が外部電界で伸縮運動することにより、基板全体に曲プロセス工程の簡略化従来Siマイクロマシニング本プロセス工程Mask(SiO2)SiMask(SiO2)Si①②③④⑤⑥⑦⑧⑨⑩Ti/PtTi/PtPZTPZTPtレジストMask2(SiNX)Mask2レジストワークAD法の導入スピンコート露光現像レジストPtPZTAu or Al①②③④⑤(作製されたSi-MEMSスキャナー)歪みのないレーザービーム技術のポイント:従来より厚いSi構造、PZT膜で高剛性・高速応答を実現図5 AD圧電膜で駆動されるSi-MEMS光スキャナーと従来製造工程の比較図6 AD圧電膜で駆動されるメタルベース光スキャナーと製造工程従来Si‐MEMS光スキャナーPZT駆動型メタルベース光スキャナー1101009080706050403020100駆動周波数 (kHz)光走査角 × ミラーサイズ (θD)メタルベースMEMS従来SI-MEMS051015202530354045505560図7 板波共鳴原理によるメタルベース光スキャナーと従来Si-MEMSスキャナーとの性能比較SUS基板マイクロプレス1 minAD法PZTの形成5 min10 min600 ℃で熱処理上部電極の形成20 min40 kV/cmで分極処理20 min電線接続と固定5 min(53)−
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