Vol.1 No.2 2008
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研究論文−130 Synthesiology Vol.1 No.2(2008)1 はじめに電子デバイス、実装分野における製造プロセスを取り巻く状況は、産業自体のグローバル化や環境負荷への懸念の流れの中で急速に変化してきている。製品サイクルの短期化や多品種・変量生産への対応である。現在、製品マーケットでは、急速に製品仕様の多様化が進んでおり、この波は、コネクターやセンサ、アクチュエータなどの実装品レベルにも波及し、一括大量生産の時代から極端な短納期、多品種・変量生産が要求されている。つまり、製品製造に要求される形態が市場ニーズの多様化により大きく変化してきているのである。例えば、MEMSデバイスを量産する製造ラインは、既存のLSI製造ラインを利用しても、研究開発フェーズの段階から、現状で優に10億円以上の設備投資が必要で、製品開発に時間がかかる上、デバイスレベルで量産効果による低コスト化のためには、相当数の生産量が求められる。それゆえに、これを事業化する際のビジネスリスクは大企業といえども相当なものになる。これが、「MEMS事業化にはキラーアプリが必要」といわれるゆえんである。一方で、MEMSデバイスなどは、一種の部品と考えられ、その実用化を考えると、本来、多品種・変量的な生産のフレキシビリティが求められるものだともいえる。仮説ではあるが、一般的に機能部品のモジュール化においても、集積度が増すにつれ、この傾向は高まると考えられ、製品競争力維持のためにコモディティー化を抑える観点からブラックボックス化とカスタム化を同時的に押し進めると、おのずと多品種・少量生産の必要性が生じ、この中で低コスト化を実現するには、製造技術の観点からさらなるプロセス技術の進化も必要になると考えられる。また、これからの先端デバイスの製造プロセスを考えると、多様な機能を持つ酸化物エレクトロニクス材料などを薄膜化、高集積化して高度な機能を実現することが、ますます求められるであろう。MEMSデバイスのような電子デバイスの集積化プロセスにおいては、スパッター法やCVD法に代表される真空薄膜プロセスを多用する研究開発が各所で進められており、今後ますますこの流れは主流となるであろう。しかしながら意外なことに、このような半導体周辺部品の集積化で薄膜技術が実用レベルに到達しているものは数少ない。これは、キャパシターやフィルター部品の事例に見られるように、デバイス化したときの材料レベル研究論文エアロゾルデポジション法(Aerosol Deposition method: AD法)は、最近開発された粉末材料の噴射加工技術の1つであり、セラミックス微粒子を高温で焼結することなく、常温で固化・緻密化できる革新的なコーティング手法である。これにより、機能部品の製造プロセスにおいて、高機能化と大幅なエネルギー消費の低減、工程数の削減、ひいてはコストダウンをもたらすと期待される。このようなAD法の持つ特徴が、技術競争力と環境負荷低減という観点から、どのように位置づけられ、また、どのような可能性を持っているかを原理や具体的検討事例とともに、本格研究の視点から検証する。エアロゾルデポジション法明渡 純*、中野 禅、朴 載赫、馬場 創、芦田 極産業技術総合研究所 先進製造プロセス研究部門 〒305-8564 つくば市並木1-2-1 つくば東 産総研つくばセンター *E-mail: akedo-j@aist.go.jp粒子ビーム濃度測定器(透過式光センサー)XYZθステージメカニカルブースターマスフロー制御器高圧ガスエアロゾル発生器原料微粒子解砕・分級器ロータリーポンプ成膜チャンバー図1 エアロゾルデポジション(AD)装置の基本構成ー 高機能部品の低コスト、省エネ製造への取り組み ー(49)−

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