Vol.1 No.2 2008
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研究論文:タンパク質のネットワーク解析から創薬へ(家村ほか)−124 Synthesiology Vol.1 No.2(2008)疾患関連タンパクのネットワーク解析化合物ライブラリタンパク質ネットワークを俯瞰すれば、これまで発見できなかった最適な制御分子(創薬ターゲット)を発見できるスクリーニング系の構築合成展開自動処理ロボットによる効率化・高精度化大規模タンパク質ネットワーク解析疾患関連遺伝子の機能解明・生活習慣病・本態性高血圧・神経変性疾患・癌・リュウマチ・廃用性筋萎縮・ダウン症・色素性乾皮症・ベーチェット病創薬加速新規なCellular systemの発見新規なCellular systemの発見インシリコ支援による最適化図1 タンパク質ネットワーク解析から展開する創薬タンパク質は互いに相互作用し合い、ネットワークを形成している。このタンパク質ネットワークを知ることにより個々のタンパク質の機能が分かる。また、ネットワークを俯瞰することにより、疾患の発症メカニズムや新規な創薬ターゲットを発見出来る。これらの情報を基に創薬スクリーニングを展開する。析を行うには満足できないほど低い感度とスループットであった。特に、既存のHPLCのポンプはせいぜい毎分数マイクロリッターの流速が下限であり、その上分析の再現性が悪く、大規模な繰り返し解析を安定的に行うことは不可能であった。その大きな理由の1つは、毎分数マイクロリッターという低流速での溶媒の均質な混合が困難だったからである。液体クロマトグラフィを行うには、初期溶媒でタンパク質・ペプチドをカラム担体に吸着・濃縮し、脱塩をした後に、溶出溶媒を流し、溶出されてきた試料を分析する。通常、溶出溶媒は少しずつ初期溶媒に混合し、濃度勾配を作り出して送液される。そのためには、初期溶媒と溶出溶媒の2系統のポンプを接続し、混合送液を行う流路が必要となる。このとき流路中には必ず逆止弁、ミキサー等のデッドボリューム(溶媒同士をよく混和するためのスペース)が存在する。そのため、1回の分析に長い時間がかかる上、低速では溶媒が均一に混合されない。1990年代になり、ポンプの送液速度を下げずに、送液をスプリットすることにより分析流速を下げるという試みが盛んになされた。送液流路の途中に分岐を作り、溶媒のほとんどを廃液し、一部のみを分析カラムに送る。すなわち、10対1にスプリットすれば、9の溶媒を捨てて、流速を10分の1に下げることができる(図2の上部)。この方法は、分析カラムの背圧とスプリット部分の抵抗が常に一定でなければ定めた流速で分析することはできない。しかし、測定の実際では、試料の負荷量や容積により、分析カラムの背圧は必ずしも一定ではない。また、分析回数が増えるにつれてスプリット抵抗も増してしまうのが常であった。従って微量分析を再現的に行うのはほとんど不可能ということになる。これが本当に解決しなければならない問題であった。3 新たなシナリオと要素技術開発(液クロと環境の問題)我々が、この問題を解決するために採用したシナリオは、液体クロマトグラフィの高度化を原点とするものである。液体クロマトグラフィを高度化することを初めに行い、その結果順次出てくる個別の要素問題を解決して、最終的にタンパク質の高精度かつ効率的な解析手法を達成しようと考えた。液体クロマトグラフィの高度化において、具体的には溶出溶媒に濃度勾配を作り出すためにポンプを2系統使用せず、1系統のポンプだけで実現する全く新規な方法を創出(43)−

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