Vol.1 No.2 2008
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研究論文:だれでも構築運営できるコラボレーションシステムの実現(江渡ほか)−109 Synthesiology Vol.1 No.2(2008)(受付日 2007.12.26,改訂受理日2008.3.10)執筆者略歴江渡 浩一郎(えと こういちろう)1997年 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。同年、国際メディア研究財団に所属。メディアアーティストとしてネットワーク上のコミュニケーションをテーマとした作品制作活動を行う。1996年 「WebHopper」を制作。1997年 アルス・エレクトロニカ賞グランプリを受賞(sensoriumプロジェクトとして)。 1998年 Canon ARTLABとの共同制作として「SoundCreatures」を制作。1999年 アルス・エレクトロニカ賞Honorary Mentionを受賞。2002年 産業技術総合研究所に所属。2003年より、「qwikWeb」の開発・運用を継続する。2005年、仮想生物構築環境「Modulobe」を発表する。ネットワーク上の共有知を支援する情報共有環境に興味を持つ。修士(政策・メディア)。情報処理学会会員。本論文では主としてqwikWebの設計、開発および試験運用、論文作成を行った。濱崎 雅弘(はまさき まさひろ)2000年 同志社大学工学部知識工学科卒業。2002年 奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科博士前期課程修了。2005年 総合研究大学院大学数物科学研究科博士後期課程修了。博士(情報学)。同年より、産業技術総合研究所情報技術研究部門勤務。情報推薦やオンラインコミュニティの研究に従事。人のネットワークを活用した情報システムに興味がある。人工知能学会、電子情報通信学会、査読者との議論 議論1 ユーザ参加型の開発改良について質問(大蒔 和仁)「システム設計には、利用者である末端ユーザも直接関与する仕組みを用意することが大変重要である」という観点が重要と思いますので、その点を明確に記載されたらどうでしょうか。回答(江渡 浩一郎)ご指摘の通り、情報システムではこのユーザ参加型の開発改良プロセスが重要な点ですので、「2. Webシステムの本格研究」をより分かりやすくしました。末端ユーザの直接関与は非常に重要な点なのですが、今回の開発においては、ユーザにシステムを使っていただき、その様子を細かく観察し、観察結果を元に必要な機能を考えるという手順をとりました。ユーザはシステムに関しては素人なので、本当に必要な機能を提案できるかというと、必ずしもそうではありません。逆に末端ユーザは彼ら自身の仕事については専門家なので、彼ら自身の仕事のプロセスを元に開発者が必要な機能を決定いたしました。この点は2章に関連部分を記述いたしました。議論2 ソフトウエアの権利関係について質問(大蒔 和仁)qwikWebの権利関係はクリアになっているのでしょうか。回答(江渡 浩一郎)qwikWebに関しては、直接開発に関与した人員は産総研職員のみであり、他者との権利関係は明確となっております。システムの一部としてQuickMLを利用しておりますが、こちらはGPLに基いてフリーソフトウェアとして公開しているもので、qwikWebも同様にGPLを選択していますので、権利関係上問題はありません。議論3 ソフトウエアの学習について質問(大蒔 和仁)査読者が、Wikiを使って感じるのは、簡単だとはいっても「パターンランゲージ」をある程度学ばなければならない点です。このトレードオフをどう考えるか、という点の言及が欲しいと思います。回答(江渡 浩一郎)良い御指摘ありがとうございます。まずパターンランゲージはWikiの背景となる思想で、それを学ばないとWikiを使えないわけではなく、簡単な使い方だけを学習すればまず使い始めることは誰にでもできます。その上でWikiをWikiらしく使うためには御指摘の通りある程度はパターンランゲージを学ばないといけないのですが、それはWikiの背景となる思想を身につける必要があるということであり、design, Proceedings of ECOOP'93, Kaiserslautern, Germany, 406-431 (1993).http://c2.com/cgi/wiki?WikiWikiHyperCardYahoo! グループ: http://groups.yahoo.co.jp/freeML: http://www.freeml.com/高林 哲, 増井俊之: QuickML: 手軽なグループコミュニケーションツール, 情報処理学会論文誌, 44(11), 2608-2616 (2003).江渡浩一郎: qwikWeb徹底解説, Software Design 2006年5月号, 102-111(2006).しばむらしのぶ: qwikWeb上のWikiつまみぐい―Wikiつまみぐい運用の舞台裏, Software Design 2006年7月号, 113-115(2006).http://qwik.jp/wikibana-gihyo/JotSpot: http://www.jot.com/PukiWiki: http://pukiwiki.org/Hiki: http://www.namaraii.com/hiki/武田英明, ムリアディ・ヘンドリー: Semantic MediaWikiの構築に向けて, 人工知能学会研究会資料, SIG-SWO-A404-06, 06-01--06-03(2004).河本健作, 北村泰彦: Semantic WikiによるRDF自動生成, 人工知能学会研究会資料, SIG-SWO-A501-02, 02-01--02-06 (2005).M.Guzdial, J.Rick and B.Kerimbaev: Recognizing and supporting roles in CSCW, Proceedings of the 2000 ACM conference on Computer supported cooperative work, 261-268 (2000).C.Wang and D.Turner: Extending the Wiki paradigm for use in the classroom, Proceedings of the International Conference on Information Technology: Coding and Computing (ITCC'04) , 2, 255-261 (2004).M.Brereton, J.Donovan and S.Viller: Talking about watching: Using the video card game and wiki-web technology to engage IT students in developing observational skills, Proceedings of the fifth Australasian conference on Computing education, 197-205 (2003).[12][13][14][15][16][17][18][19][20][21][22][23][24][25][26]ACM、各会員。本論文では主としてqwikWebの試験運用データ解析および論文作成を行った。西村 拓一(にしむら たくいち)1992年 東京大学工学系大学院修士(計測工学)課程修了。同年、NKK(株)入社。X 線、音響・振動制御関係の研究開発に従事。1995年 技術研究組合新情報処理開発機構つくば研究センタに出向、1998年 NKK(株)復帰。1999年 技術研究組合新情報処理開発機構つくば研究センタに所属。2001年 産業技術総合研究所サイバーアシスト研究センターに所属、2005年 同情報技術研究部門実世界指向インタラクショングループ長、同年筑波大学大学院知能機能システム専攻 助教授 (連携大学院)を併任、現在に至る。博士(工学)。時系列データ検索・認識、実世界情報支援に興味を持つ。電子情報通信学会、情報処理学会、人工知能学会ヒューマンインタフェース学会、赤外線学会、ACM、各会員。本論文では主として本研究の位置づけおよび論旨展開の構築、論文作成を行った。(28)−
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