Vol.1 No.2 2008
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研究論文:だれでも構築運営できるコラボレーションシステムの実現(江渡ほか)−107 Synthesiology Vol.1 No.2(2008)始と終了時に頻繁に行われるが、Wikiへのアクセスや編集は作業と密接に関わるため午後の就業時間に頻繁に行われたり、就業終了時や就寝前などの区切りがついた時点にまとめ作業の場として用いられたりしたのではないかと考えられる。次に、WikiもMLも利用しているグループでの利用状況について見てみる。ここでは投稿数が50件以上、Wikiページ編集回数50回以上、継続期間が1年以上のMLに注目した。この条件を満たすMLは全3,110個のうち64個あった。各月の投稿数と編集回数の大小を比べてみたところ、8割にあたる54個のMLが編集回数よりも投稿数の方が多い月が多かった。図6は幾つかのMLにおける投稿数、編集回数の累積値を示した値である。図6-aはML中心、図6-bはWiki中心の例である。全体的に最初の数ヶ月が最も活動的(投稿数も編集回数も多い)でそれ以降は少なくなるという傾向が多く見られた。特にWikiはその傾向が強く、最初に編集があった後は小康状態に落ち着くことが多い。しかし幾つかのMLでは突然Wiki編集回数が増えるという例もみられた。図6-c1およびc2はコンスタントに増加する投稿数に対して、Wikiの編集回数は一時期急増しまた沈静化したという例である。日常業務での連絡、協働知識構造化として利用している場合にはMLもWikiも定常的に利用され、特定のイベントのために利用している場合にはそのイベントの前後での利用が多くなっていると考えられる。以上、qwikWebの利用状況とMLとWikiの利用のされ方の違いについて運用結果データを基に述べた。研究ベースの運用にも関わらずqwikWeb設計と実装の有効性が示せた。6.2 qwikWebの実践例技術評論社「Software Design」誌2005年8月号より2006 年7月号まで、12回に渡ってWikiに関する記事が連載され、連載の1つとして「qwikWeb徹底解説」[16]が掲載された。同時に連載を支えるコラボレーションシステムとしてもqwikWebは利用され、最終回においてqwikWebを利用した編集作業の実態[17]が紹介された。連載において利用されたqwikWebのグループは、同様な利用者の参考になるように一般公開された[18]。記事によれば、qwikWebが選ばれたのは「後から追加されたメンバにもプロジェクトの見通しが良いこと」、「メールとドキュメントの両方が閲覧可能であること」などの条件があげられ、qwikWebの目標が実現されていることがわかる。このことから、qwikWebが研究ベースの運用であるにもかかわらず、実運用にも使えるクオリティを発揮していたことが確認できる。投稿数Wiki編集数Wikiアクセス数ユーザ数(a)MLが中心のグループ(b)Wikiが中心のグループ(c1) 一時期だけWikiを利用するグループ(c2) 一時期だけWikiを利用するグループ投稿数Wiki編集数Wikiアクセス数ユーザ数投稿数Wiki編集数Wikiアクセス数ユーザ数投稿数Wiki編集数Wikiアクセス数ユーザ数1000061218month24302003004005006007002004006008001000120014001600180020000061218month2430500061218month2430100150200250300500061218month2430100150200250300図6 グループによる利用状況の違い (26)−

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