Vol.1 No.2 2008
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研究論文:熱電発電を利用した小型コジェネシステムの開発(舟橋ほか)−99 Synthesiology Vol.1 No.2(2008)参考文献平田賢:省エネルギー論, オーム社 (1994).大熊謙治他:熱電シンポジウム99論文集, 96 (1999).L. D. Hicks and M. S. Dresselhaus: Effect of quantum-well structures on the thermoelectric figure of merit, Phys. Rev. B, 47, 12727 (1993).R. Funahashi, I. Matsubara, H. Ikuta, T. Takeuchi, U. Mizutani and S. Sodeoka: An oxide single crystal with high thermoelectric performance in air, Jpn. J. Appl. Phys., 39, L1127 (2000).R. Funahashi, S. Urata and M. Kitawaki: Exploration of n-type oxides by high throughput screening, Appl. [1][2][3][4][5]装着した時に起きているガス燃焼温度の低下を抑え、不完全燃焼を防いでいるためと考えられる。一般に、廃熱回収とは熱機関のサイクルが終わった後の排気ガス等を用いるもの(ボトミング)と考えられている。しかし、天然ガスは約1473 Kで燃焼するものの、湯沸かし器から得られる温水の温度は高々323 K程度しかない。つまり、燃焼により生じた熱エネルギーを有効に使い切っていないことになる。そこで、まず使われていない高温の熱エネルギーを熱電発電で用い、その廃熱で水を加熱すれば、高いトータル効率での熱利用が可能となると考えられる。このようなトッピングによる熱回収は高温でも使用できる酸化物材料であるからこそ可能であり、新たな熱電発電の利用方法である。8 今後の展望ここでは、高温廃熱の有効利用を目指した酸化物熱電発電システムの開発について述べた。このシステムを構築するためには熱電材料の開発からスタートする必要があった。これについては幸運に恵まれ、優れた変換効率と耐久性を有するCo系層状酸化物を見いだすことができた。この物質は高温、空気中での熱電発電の実用化を可能にしただけでなく、異なる機能を有するナノブロックの集積(ナノブロックインテグレーション)による高熱電性能発現の実証例として学会で高く評価された。しかし、発電システムの構築には新たな高性能物質の開発と共に、本論文で述べた接合、電気絶縁、伝熱技術など多くの技術、ノウハウを統合し、量産技術も開発しなければならない。さらに熱電発電を広く普及するためには、p型材料のCo、n型材料のLa、ペーストに用いたPdの使用量の低減あるいは非金図9 湯沸かし器がコジェネレーションシステムに熱電モジュールを装着し、トッピング熱回収を行うことで、温水に加え電気と過熱蒸気を同時に生成することが可能となった。また、排気ガス中に含まれるCO量も低減することが出来た。属による代替技術も将来的に必要となる。熱電発電の市場はこれから構築されていく段階にある。実用化にはまずユーザーと共に廃熱による熱電発電の価値を創造しなければならない。そのためには、モジュールに熱電変換プラスアルファの機能を持たせる、あるいは熱電モジュールを搭載するシステムに新たな付加価値を与えることが必要である。酸化物熱電モジュールの場合、低温側の温度が高くできるため、トッピング熱回収により廃熱を有効利用することができる。この概念を用いれば、ボイラー、燃料電池等、高温で使用する熱交換、エネルギー変換機器のトータル熱効率の向上に期待が持てる。また、熱電変換の強みである高出力密度も自動車など移動体や携帯用電源等への応用に好都合である。ちなみにCo−349/Ni−113熱電素子では約2 MW/m3の出力密度が得られる。ここで述べた技術統合により開発された熱電発電システムを熱機関に取り付け、廃熱が有効利用できたとき、それを心待ちにしていたユーザーに新たな価値を与えると共に、エネルギー問題解決に大きく貢献するものと期待できる。なお、ここで示した結果の一部は他誌でも紹介されている[10]。謝辞パイプ型モジュールを作製するにあたり、役立つアドバイスを下さいました大阪ガス株式会社エネルギー技術研究所の久住喜徳シニアエンジニアと毛笠明志シニアエンジニアに感謝の意を表します。また本研究の一部はNEDO産業技術研究助成事業(ID06A39002d)により行われています。用語説明用語1:エクセルギー:他のエネルギーに変換可能な有効エネル ギー。キーワード熱電発電、酸化物、モジュール、廃熱(18)−
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