Vol.1 No.2 2008
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研究論文:熱電発電を利用した小型コジェネシステムの開発(舟橋ほか)−95 Synthesiology Vol.1 No.2(2008)Kの冷廃熱から873 Kを越える高温廃熱まで温度差も広く、また気、液、固相熱と形態も様々である。温度差を利用する熱電発電にとって最も都合が良いのは高温廃熱を用いることである。しかし、一般にある程度まとまったエネルギー量の高温廃熱はボイラー等を用い熱交換器により回収可能である。そのため、熱電発電の研究においても700 K以下での作動を目指した材料開発が主に進められてきた。ただ、このような700 K以下の中低温廃熱のエクセルギー用語1は高温廃熱と比べ低いため、それを回収するための熱電発電システムは大がかりなものとなる。また、中小規模コジェネレーションシステムやバイオマスを用いたボイラー等エネルギー変換の分散化が進む中、まとまった量の廃熱が得られないため、既存の熱回収システムでは効率、コスト面から廃熱の有効利用は困難であった。つまり、小規模システムからの廃熱利用のためにはできるだけ高温の廃熱を利用したい。しかし、それは熱電発電を搭載する熱システムの効率を低減させかねない。そこで筆者らは熱システムに必要な温度よりも高温で熱電変換によりエネルギーを回収し、その後で熱システムを作動させることを思いついた。発想の転換で、熱電発電からの廃熱を「母屋」の熱システムで利用する、トッピング熱回収システムを考案した(図2)。熱電発電と熱システムでのエネルギー利用率を最適化することでシステム全体のエネルギー効率を向上することが可能になると考えられる。トッピングシステムの開発において筆者らがまず注目したのが天然ガスを用いた給湯器である。家庭用ガス給湯器において、天然ガスの燃焼温度は等のガス機器には着火用あるいは機器の制御用に電力が必要である。これではガス栓に加え、コンセントも近くに必要で、停電時に暖房を入れることも、お湯を沸かすこともできない、そして電気代もかかってしまうなどユーザーにとっては不便なことが多い。もしガス機器が発電し、コンセントからの電力供給が無くても自立運転可能になれば、非常に利便性が高まる。また、最近、調理機器やスチームサウナなど、過熱蒸気の一般家庭での利用が広がりつつある。小型蒸気発生器の開発は電気機器が先行しているが、エネルギー効率、加熱の瞬発力を考慮するとガス燃焼を用いた方が短時間で、大量の蒸気発生が可能となる。しかし、熱交換器の熱劣化、火炎温度の低下による不完全燃焼(COの発生)が問題となり、天然ガスの燃焼を用いた小型蒸気発生器は広く実用化されていない。つまり、熱交換器表面を保護すると共に、火炎温度を低下させ過ぎない技術の開発が天然ガスを用いた小型蒸気発生器開発の鍵を握っている。上記の問題を解決するためには、熱交換性能が劣化しない程度に酸化物等の耐熱性に優れた材料で被覆することが有効であると考えられる。さらにこの被覆層に熱電変換機能を持たせることができれば、ガス燃焼による蒸気と電力の同時生成が可能となり、ユーザーにとって非常に便利で、新たなコジェネレーションシステムが構築できる。4 ガス・熱電コジェネレーションシステムに必要な技術課題天然ガスを用いた小型コジェネレーションシステムの構築に必要な技術課題を図3に示す。「川下側」の技術から考えてみる。ガス燃焼により過熱蒸気とお湯を生成するためには熱交換により冷水を加熱する必要がある。そこで熱電モジュールの形状をパイプ型にし、パイプ外側を加熱、パイプ内に水を流し温度差を付けることで熱電発電と熱交換を同時に行えばよい。本研究で用いる家庭用元止め式湯沸かし器では熱交換器はバーナーから15~20 cm上部にあり、その間は空洞である。過熱蒸気を生成するためにはパイプ型モジュールをバーナーに接近させる必要がある。つまり、従来の熱交換器とバーナー間の空洞に熱電モジュールエネルギー源熱電発電システム熱システム熱交換燃料電池等ボトミング廃熱エネルギー源熱電発電システム熱システム熱交換燃料電池等トッピング廃熱図2 ボトミング及びトッピング廃熱回収の概念・パイプ型モジュール・素子・水管熱伝達・素子・水管電気絶縁・素子・水管接着強度・素子・電極接合強度・素子・電極接合電気抵抗・素子熱電性能・素子機械特性・素子高温耐久性 etc.中間統合技術中間統合技術・熱交換・集熱・冷却・機械強度・高温耐久性・発電性能・量産 etc.湯沸かし器搭載湯沸かし器搭載天然ガス燃焼による給湯過熱蒸気発電ガス・熱電コジェネレーションシステムガス・熱電コジェネレーションシステム・物質設計・固体物理・化学・ナノテクノロジー・結晶構造制御・高効率探索・脱希少金属・無毒化 etc.基礎研究基礎研究図3 ガス・熱電コジェネレーションシステムに必要な技術「川下側」からのニーズを元に「川上側」の技術を構築した。1473 Kにも達するが、給湯器から得られるのは高々323 K程度のお湯である。温度だけで見れば非常にもったいなく感じられる。そこで筆者らは、共同研究により大阪ガス株式会社とガス給湯器で熱電変換によるトッピング熱回収と給湯を同時に行うコジェネレーションシステムの作製を試みた。さらにこのコジェネレーションシステムからお湯だけではなく過熱蒸気を発生させることにも挑戦した。3 ガス機器への熱電発電の必要性家庭で用いられている、給湯器、コンロ、ファンヒーター(14)−
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