Vol.1 No.2 2008
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研究論文:シームレスな20万分の1日本地質図の作成とウェブ配信(脇田ほか)−92 Synthesiology Vol.1 No.2(2008)(受付日 2007.12.25,改訂受理日2008.2.22)執筆者略歴脇田 浩二(わきた こうじ)1977年3月名古屋大学理学部地球科学科卒業、同年4月工業技術院地質調査所(当時)入所。現在、地質調査情報センター長。2007年度まで野外調査に基づく5万分の1及び20万分の1地質図幅の作成、付加体形成過程の研究、アジアのテクトニクスの研究等を担当した。世界地質図委員会アジア国際地質図編集委員・デジタル地質標準作業部会委員、国際地質学連合地質情報応用管理委員会評議員。2002年より日本シームレス地質図データベースの研究プロジェクトをリーダーとして推進する。名古屋大学理学博士号取得(1988年)。本論文では主としてシームレス地質図のプロジェクトの統一凡例作成と日本全域の地質図編集及び統合を担当した。井川 敏恵(いがわ としえ)2003年産総研特別研究員として入所。2007年より日本産業技術振興協会派遣職員。利用しやすい国土基盤情報の発信を目指し、20万分の1シームレス地質図の作成に取り組んできた。他に、5万分の1シームレス地質図及び5万分の1部分地質図の作成にも従事する。専門は炭酸塩堆積学。九州大学大学院理学研究科地球惑星科学専攻を修了し、博士(理学)を取得 (2002年)。本論文では主として日本全域のシームレス地質図のデータ作成及びデータ編集を担当した。宝田 晋治(たからだ しんじ)1991年入所。火山体で発生する火砕流等の火山重力流の研究に取り組んでいる。雲仙火山、有珠火山等の火山噴火に関わってきた。また、八甲田山地域、北海道地域などの火山地域の地質図の作成を行った。2000年以降は、20万分の1日本シームレス地質図の作成に関わっており、RIO-DB公開サイト開発を担当。最近ではWebGISを使った統合地質図データベースにも取り組んでいる。また、総合地質情報データベース構想による地質情報の統合化やGEO Gridプロジェクトの推進を行っている。北海道大学理学博士号取得 (1994年)。本論文では主として北海道地域と火山岩類の編集、シームレス地質図のウェブ配信を担当した。伏島 祐一郎(ふせじま ゆういちろう)1998年旧科学技術振興事業団重点研究支援協力員として旧地質調査所活断層研究室に配属。活断層研究センター第二号契約職員を経て、2007年産総研に入所。活断層の調査研究のかたわら、活断層データベースの構築を開始し、地震発生確率予測の社会的情報基盤として育て上げた。さらに対象を地球科学情報全般に広げ、その構造化と標準化によって、相互運用性を高める研究と実装を並行して進めている。本論文では主としてシームレス地質図の構造化と標準化を担当した。査読者との議論 議論1 第1種基礎研究へのフィードバック質問(小野 晃)本研究は、第1種基礎研究としてそれぞれの地域で区画ごとに作成されたオリジナルな地質図を、日本全国をカバーするシームレスな地質図に統合するという優れた第2種基礎研究であると高く評価します。部外者の想像ですが、個々のオリジナルな地質図はその時々の規範に基づいて作成された優れたものと思いますが、一方でそれを担当した研究者個人の興味と能力に大きく依存した、ある意味非常に個性的なものにも思えます。今回の研究は、統一凡例という共通の規範のもとにそれら個別的な研究を再評価するという意味合いを持っていませんか。今回の研究は、第1種基礎研究で作成されたオリジナルな地質図をベースとして、数年間にわたるシームレス化の第2種基礎研究として行われましたが、逆にこの第2種基礎研究が今後の第1種基礎研究(オリジナルな地質図の作成など)に何らかの良い影響を与えたことはありませんか。このシームレス地質図の作成が新たな刺激となって、個性的で独創的な地質研究が多く出てくることを期待したいと思います。[1][2][3][4][5][6][7][8][9][10][11][12][13][14][15][16][17][18]サイモン・ウィンチェスター(野中邦子訳):世界を変えた地図 ウイリアム・スミスと地質学の誕生, 早川書房(2004).小玉喜三郎, 磯部一洋, 湯浅真人:見方・使い方 地質図,オーム社(2004).脇田浩二, 井上誠:実務に役立つ地質図の知識,オーム社 (2006).河合正虎:5万分の1地質図幅及び同説明書「根尾」, 地質調査所(1964).脇田浩二:八幡地域の地質, 地域地質研究報告(5万分の1地質図幅), 地質調査所(1984). 脇田浩二:谷汲地域の地質, 地域地質研究報告(5万分の1地質図幅), 地質調査所(1991). 脇田浩二:美濃地域の地質, 地域地質研究報告(5万分の1地質図幅), 地質調査所(1995). 脇田浩二, 井川敏恵, 宝田晋治:新しいコンセプトによる20万分の1シームレス地質図,地質ニュース,620,27-41(2006).産業技術総合研究所地質調査総合センター(編):20万分の1日本シームレス地質図データベース 2007年5月12日版 産業技術総合研究所研究情報公開データベースRIO-DB084, 産業技術総合研究所地質調査総合センター(2007).地質調査所:100万分の1日本地質図第3版,地質調査所(1992).宮崎一博:20万分の1シームレス日本地質図の変成岩統一凡例(試案), 地質調査研究報告,54,295-302(2003).A.K.W.Yeung, and G.B.Hall:Spatial Database Systems-Design, Implementation and Management, Dordrechet Netherland: Springer(2007).建設技術者のための東北地方の地質編集委員会:建設技術者のための東北地方の地質, 東北建設協会(2006).四国地方土木地質図編集委員会:四国地方土木地質図, 国土開発技術研究センター (1998).脇田浩二:地質図の数値化と標準化:最近の国際動向,地質ニュース, 588,40-54 (2003).Z-R.Peng and C.Zhang: The roles of geography markup language (GML), scalable vector graphics (SVG), and Web feature service (WFS) specifications in the development of Internet geographic information systems (GIS), Journal of Geographical Systems, 6, 95-116 (2004).S.J.D.Cox, E.Boisvert, B.Brodaric, T.R.Duffy, B.R.Johnson, J.L.Laxton, S.M.Richard and B.Simons: GeoSciML: a standards-based encoding for transfer of geoscience information from IUGS/CGI, Proceedings, International Association for Mathematical Geology, XIth International Congress, Liege, S05-04 (2006).M.Sen and T.R.Duffy:GeoSciML:Development of a generic GeoScience Markup Language, Computers & Geosciences, 31, 1095-1103 (2005).参考文献キーワード地質図、シームレス、ウェブ配信、標準化、GeoSciML、GEO Grid(11)−

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