Vol.1 No.2 2008
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研究論文:シームレスな20万分の1日本地質図の作成とウェブ配信(脇田ほか)−90 Synthesiology Vol.1 No.2(2008)これらの特徴を組み合わせることによって、シームレス地質図の一組のデータセットから、初期の平面図としての地質図のみならず、地質断面図・3次元地質図などの多様な描画や、地質学的年表である地質編年表などの作成が将来的には可能になっていく。これらの実現を目指して、我々は様々な地質学データの規格化・標準化・データモデルの構築とデータ整備を開始している。5.2 日本の共通基盤情報としてのシームレス地質図シームレス地質図の目標は、単にシームレス化による利便性の向上やインターネット配信による広域配信だけではない。地質図を国民全体の共通財産として利用してもらえるように整備し、インターネットを通じて自在に利用できる“みんなのコンテンツ”として発展させていくことを目指している。その一例として、国土交通省の土木地質図や表層地質図と産総研のシームレス地質図のデータ相互利用は、経費削減の経済効果をもたらすとともに、最新の地質図情報の相互交換などに寄与できる(図9)。実際日本シームレス地質図の作成には、四国地方など土木地質図[13]を利用して地質図編集を行った。逆に日本シームレス地質図のベクタ形式のデータを利用して、東北地方では土木地質図が作成された[14]。また、地質図とは異なる空間情報との相互利用もシームレス地質図が目指す重要な機能である。現在名古屋大学や東北大学等と環境分野の共同研究を推進している。産総研の内部でも日本シームレス地質図は活断層研究や土壌汚染研究等において基盤地質情報として用いられている。20万分の1日本シームレス地質図の作成を契機に、「情報相互運用性の高い統合地球科学図データベース構築のための基盤研究」という研究課題のもとに、20万分の1縮尺で他の地質情報も全国整備する計画が開始された。この研究では、日本シームレス地質図とともに地球物理図(重力図・空中磁気図)及び地球化学図用語9を20万分の1縮尺で整備し、これらをセットで、日本の20万分の1縮尺での全国規模の地球科学シームレスアトラスとして整備しつつある。これは地質調査情報センターの様々な地質情報の基盤として位置づけられ、また日本の地質情報基盤として、他分野の情報との相互運用を容易にすることが期待される(図9)。5.3 地質情報の国際標準化と相互運用地質図情報をインターネット上でやりとりし、相互に利用するためには、ソフトウエアやファイルフォーマットの違いによらず利用できる仕組みが必要である[15]。また、使われている用語や言語の意味が、誰でも、更にはどのシステムでも自動的に同じ意味として理解できるようにする必要がある。空間情報の国際標準化団体Open Geospatial Consortium(OGC)は、空間情報全般に関する規格GML用語10と、その運用仕様WFSやWMS用語11などを国際標準として提案している[16]。シームレス地質図も、これらの国際標準に準拠することによって、様々な分野の様々な形式の空間情報との相互利用を目指している(図9)。地質図を初めとする多様な地質情報の相互運用実現を目指して、現在、国際地質学連合(IUGS)の地質情報管理応用委員会(CGI)に著者らが参加し検討しているのが地質情報国際規格GeoSciMLである[17]。この規格は上記のGML同様、データモデルをXMLによって記述したXMLボキャブラリーの1つで、空間情報に関してはGMLに準拠している[18]。地質図を初めとした様々な地質関係電子文書を細かく切り分けて、それらにGeoSciMLの多様なタグでメタデータを埋め込むことによって、組み合わせ可能な部品としてのデータ相互運用を実現する(図10)。GeoSciMLをはじめ様々なXMLボキャブラリーの適用の為にはそれ図9 シームレス地質図の将来の発展モデルシームレス地質図立地資源データ共有データ共有他省庁土木地質図表層地質図研究所内活断層DB土壌汚染DB地質防災環境アジア世界地質情報の標準化地質情報構造規格GeoSciMLGML,WFS, WMSインターネット配信空間情報相互運用図10 地質情報の標準化とそれによって可能になる相互運用のフロー国際標準化機関XMLXMLXMLデータモデルシームレス地質図フィールドデータデータデータデータ紙版地質図論文・報告書国際標準規格GeoSciML・GMLXMLデータモデルXMLデータ産総研コンテンツ追加断面図編年表モバイル配信地質図空間リレーショナルデータベース(9)−

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