Vol.1 No.1 2008
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編集後記−81−Synthesiology Vol.1 No.1(2008)新しい形式の研究論文誌を刊行することになりました。雑誌名は Synthesiology(シンセシオロジー)、その日本語は「構成学」です。Synthesiologyという言葉は、「構成」という意味を持つSynthesisと、「学」を意味する-logyをつなげた造語です。Synthesisはギリシャ語由来の語で、Syn(一緒に)+the(置く)+sis(こと)であり、-logyはやはりギリシャ語のlogos(神の言葉)から来た語で、logic(論理)などと同じ語源です。科学を社会に活かすためには、要素技術的な科学的知見をいかに「構成」していくかが重要という考えからSynthesisという語を基にし、研究開発成果を社会に還元するための統合的・構成的な営みをジャーナル上に蓄積することによって、その論理や共通方法を見いだすことを目的としていることから-logyをつけて、「Synthesiology 構成学」としました。その内容については、「発刊に寄せて」に詳細に論述されています。Synthesis の対語として当然ながら Analysis が意識されました。17世紀に科学や学会が生まれ、その後、要素還元主義が科学の成功を導いてきました。しかし現代に至ってその限界が強く認識され、統合や構成の重要性が学術界でも語られるようになっています。もう一度科学の原点に立ち戻り、社会との関係を見直そうと言う気持ちがあります。その辺りの歴史的背景が「論説」で述べられています。新しい雑誌の刊行では、どのような読者を想定するかが最大の問題です。現在の学術誌のほとんどが、細分化された個別の学問領域の中でのみ流通していることから、本誌は科学技術の研究開発とその応用に関心を持つ社会の各方面の方々に理解してもらえ、共通の興味をもってもらえることを目指しました。縦と横という表現をすれば、縦方向は科学技術の研究者から研究開発のマネージャーや技術者まで、横方向は科学技術の全分野とそれに関連する人文・社会科学の一部まで視野に入れています。このねらいが効果的に達成されているかどうかは、本号に掲載されている6つの「研究論文」を見ていただくほかないのですが、編集子の見るところ、相当程度達成されているのではないかと期待するところです。また編集子が注目していることの一つとして、著者の動機があります。今回の研究論文の著者は、これまで様々な学術誌に論文が掲載されるなど、基礎研究で顕著な成果を出してきた方々ですが、その著者が、本誌でなければ書けなかったことはあるのか、本誌で初めて書けたことは何か、を語っています。「創刊号著者座談会」をぜひご覧いただきたく思います。編集上の難しさを挙げるならば、本誌の研究論文は現行の学術論文とは形式が全く異なったものなので、著者と査読者とが何度もやり取りしながら共同で仕上げた点です。執筆要件と査読基準は「編集方針」に記載した通りですが、論文形式は未だ開発途上にあり、今後試行錯誤を経て次第に洗練され、いくつかのスタイルに収束していくことを期待しています。特に研究論文のオリジナリティに関しては、一つひとつの論文ごとにそれを確認し、積み上げていくほかないと思っています。科学技術に関係する広い分野の研究者、技術者の方々が本誌へ積極的に投稿されることを期待しています。(編集委員長 小野 晃)

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