Vol.1 No.1 2008
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−66−座談会Synthesiology Vol.1 No.1(2008)第1巻1号の研究論文の査読が一巡終了した11月初めに、著者と編集委員とで座談会を開きました。第2種基礎研究の成果とプロセスを研究論文として書き下すことは誰もやったことがない試みでしたので、著者の側には大きな苦労をかけたと思います。また査読者自身このような論文を書いたことがないのですから、著者とのやりとりにも試行錯誤が多かったと思います。座談会では、それぞれの執筆の跡を著者に振り返ってもらいました。シンセシオロジー編集委員会創刊号著者座談会の論文の執筆をとおして、我々が蓄積してきた人間特性に関する知識はこのように役に立つのだということを、アクセシブルデザイン技術の標準化研究を例に主張したつもりです。これまで言いたくても言う機会がなかなかありませんでしたので、今回、このような執筆の機会がいただけたのは願ってもないことでした。津田 私は、倉片さんの感想に加えて、産総研内の研究者以外の方々が私達の研究をどうとらえているのかということもこの執筆を通して知ることが出来たと思います。私達が書こうとしたことと査読者の方のリクエストとの間の差を理解するまでが大変でした。この論文でアピールしたかったことは、実用化研究には必ず「量の壁」を克服する段階があるのではないか?ということです。バイオの研究者が日常使っている検体量はミリグラム、ピコグラムと少ないですが、実用化を考えたら、小野 全く新しい形式の論文ということで、著者の皆さん方も大変ご苦労されたと思うのですが、今回の論文執筆で一番強く感じたことはなんでしょうか。また、アピールしたかったことはこの論文で十分に書き切れましたか。新形式のジャーナルを執筆して倉片 前例のない形式の論文を執筆することの困難さは感じましたが、書いていておもしろかったです。研究成果を説明しつつ本格研究の方法論を語るのは、与えられた紙幅では難しかったですが、結果的に自分の研究を振り返る、よい機会になりました。臨床医学は別にして、人間を対象とした研究の成果がすぐさま何か社会の役に立つことは必ずしも多くありません。そのため、この分野の研究者は人間は複雑だからとか生活環境は多様だからと言い訳しがちで、役に立つ研究を目指そうとする意気込みが欠けている気がしていました。こ新しい形式の論文を執筆して
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