Vol.1 No.1 2008
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研究論文:異なる種類のリスク比較を可能にする評価戦略(岸本)Synthesiology Vol.1 No.1(2008)−37−比較/費用対効果の一応の「結論」を出さざるを得なかったと思います。このように入力するデータや情報が不十分な場合には、最終的な結論に一定の不確かさをもたらすと思いますが、その不確かさを評価し、提示することは可能でしょうか。それができるとユーザーとしてはこれらの「結論」をどのような場面に使うべきか柔軟に対応できると思いますがいかがでしょうか。回答(岸本 充生)今回の試みは、社会ニーズから出発して、それを満たすためにひととおりの手続きを完了させることが目標でしたので、おっしゃるとおり、多少の無理をしてでも数字を出すことを優先しました。そのため、数字自体の不確実性、つまり分布の幅、に関しては十分考察ができていません。今後は不確実性解析を行い、数字の確からしさについての情報を加えたいと考えています。それと同時に、情報量の少ない場合にでも同様の解析が可能となるような方法を開発していきたいと考えています。議論4 論文のジャーナルへの適合性コメント(神本 正行)バックキャストとQALYの採用によって新たなリスク評価手法の提案とトルエンへの適用を行ったこと、評価の各プロセスで様々な工夫を積み上げて有益な結果を得たことが記述されており、本ジャーナルの趣旨に合致した内容と思います。議論5 他のリスクとの比較可能性質問(神本 正行)今後の課題に「本研究で採用した方法論が他の物質や技術の評価にも使えることを示していくことも課題である。」とありますが、推定値も含めデータが得られれば他の物質にも十分適用可能ではないでしょうか。回答(岸本 充生)データが得られれば適用可能です。統計データがそろっているリスク、例えば、自動車事故の場合では、健康影響の大きさをQALYを用いて示すことは現時点で可能です。化学物質に関しては、情報が少ない場合でも不確実性の大きさを含めて、比較可能となるような方法を現在進行中のプロジェクトで検討中です。
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