Vol.1 No.1 2008
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−26−研究論文:高機能光学素子の低コスト製造(西井)Synthesiology Vol.1 No.1(2008)の中で、過去の膨大な研究成果を活用しつつ取り組むことにした。一方、モールドの微細加工、離型処理、および精密成型の3つの技術については、家電メーカーのノウハウに依存する部分が多く、産総研が家電メーカーを支援する形で、慎重かつ戦略的に取り組むことにした。4 要素技術の統合による新規な光学素子の開発独自のモールド法で製造した光学素子を最終製品に搭載している家電メーカーと、モールド法に相応しい材料を開発しているガラスメーカー、光学およびレオロジー分野で先端的シミュレーション研究に取り組んでいる大学との連携体制を構築し、各々の研究ポテンシャルを融合するために、産総研に集中研究室を設置した。ここで重要だったのは、ガラスやセラミックスの微細加工技術と評価技術に関するノウハウが、産総研の研究グループに蓄積されていたことである。以下に、素子の作製に成功した事例を述べる。4.1 構造性複屈折波長板の開発光ディスクドライブには、光源からディスクへ向かう光と、ディスクから反射して検出器に戻る光を分離するために、波長板が使われている。現在の波長板の材料は樹脂あるいは水晶であるが、波長毎に仕様の異なる波長板を実装しなければならない。つまり、次世代ドライブには赤~青の波長域で3枚必要となるため、機器の小型化、低コスト化の阻害要因として懸念されている。また、光源の短波長化に伴って、十分な耐光性を有する光学素子が求められている。これらの問題点を克服できる可能性があるのがガラス製の構造性複屈折波長板である。透明材料の表面に波長よりも小さな周期の1次元微細構造を形成すると、透過する光の電場の向きに応じて屈折率が異なる、いわゆる「構造性複屈折」が発現する[5]。 光学的に等方的なガラスでも、表面に異方性のあるサブ波長構造を形成すれば、構造性複屈折の実現が期待できる。有効媒質理論あるいは厳密結合波解析などの計算手法を用いれば、理論的に構造の最適化が可能である。重要なパラメーターは、微細構造の周期、溝幅、高さ、そして材料の屈折率である。また、溝幅は主に位相差の波長依存性に影響するため、波長無依存化のためには形状の最適化が必須である。さらに、構造高さは材料の屈折率が高いほど低くできる。ガラス材料は樹脂に比べて高屈折率化が容易であり、構造高さを低くできるというメリットがあるが、これまでモールド法でその様な構造を形成した例はなかった。本研究では第1ステップとして、周期を500 nmに固定図3 モールド法によるサブ波長光学素子の製品化のためのシナリオ成型シミュレーション● 有限要素法(FEM)光学シミュレーション● 厳密結合波解析(RCWA)● 時間領域差分法(FDTD)● ビーム伝搬法(BPM)ガラス材料開発● 高屈折率化● 低軟化点化● 高透過率化● 低環境負荷耐熱モールド材料● 超硬合金● セラミックス高温物性評価● ヤング率、ポアソン比● 粘弾性定数● 摩擦係数精密成型技術● 超精密位置制御● 短タクトタイム化離型処理技術● スパッタ法● イオン注入法微細加工技術● リソグラフィー● エッチング● 機械加工 光ピック光学系医療光学ロボットビジョン安全認識セキュリティー撮像光学系偏光制御分散制御反射制御屈折・回折複合制御光閉じ込め精密成型

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