Vol.1 No.1 2008
26/85
研究論文:高齢者に配慮したアクセシブルデザイン技術(倉片ほか)−23−Synthesiology Vol.1 No.1(2008)種基礎研究に位置づけ、①と③を第1種基礎研究として位置づけています。著者らは本研究で意図的に第2種基礎研究の手法を取ることにより、目標としたアクセシブルデサインの標準化に成功したことは高く評価されます。しかしながら一方で、第1種基礎研究と位置づけられている①と③の研究成果が、何らかの形で本研究に対して意味を持つ場合もあるのではないかという気がします。たとえば、③の研究は精緻なモデルを提示できるがゆえに、簡略化・単純化された④の研究結果の妥当性を、その一部ではあっても、検証するものとして使えることはないでしょうか。また①の研究は、人間の平均的な像を提示するものと思いますが、人間のばらつきや多様性を記述する②の研究を根幹の部分で支えていることにならないでしょうか。著者の見解をお聞かせ下さい。なお査読者は、第2種基礎研究が、関連する第1種基礎研究の成果をベースとして、その上に展開されるというイメージを持っているために、本研究の場合にどのような相互関係になっているかという興味から、このような質問をさせていただきました。回答(倉片 憲治)的確なご指摘をいただいたと思います。ご質問のとおり、筆者らが手がけてきたアクセシブルデザイン技術の標準化研究も、「第2種基礎研究が、関連する第1種基礎研究の成果をベースとして、その上に展開される」という枠組みに当てはまると思われます。すなわち、本研究の特徴は、人間特性に関する第1種基礎研究の成果を、環境条件の考察などの第2種基礎研究を通して、現実場面に適用可能なデザイン手法に“昇華”させた点にあると考えます。また、図7では、本研究と従来型研究との対比が二者択一的に描かれていた点も不適切であったようです。第1種基礎研究の必要性・重要性は踏まえつつも、それが成熟しかかったある時点で第2種基礎研究と組み合わせ、本格研究への転換を図ったことが、アクセシブルデザイン製品の実現に有効であったことを図示すべきでした。最終稿では、これらを考慮して、第1種・第2種基礎研究の関係をより明確にした図に差し替えました。
元のページ