第3期研究戦略 平成24年度版
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119第三部情報通信・エレクトロニクス分野技術トピックスゼーベック・スピントンネル効果の発見(グリーンITと革新デバイス)単結晶有機半導体薄膜の印刷製造技術の開発(グリーンITと革新デバイス)グリーンITは、クリーンで持続可能な生活環境を守る上での柱となる技術です。最近、“スピントロニクス”と呼ばれる新技術の導入により、電子デバイスの消費エネルギーの劇的な削減を目指す研究が盛んに行われています。この技術を用いれば、磁性体が持つ電子スピンのデジタル情報(電気を切っても情報は失われない)を半導体中に入力して演算に利用できることが見込まれるため、例えば、超省電力のトランジスタの実現が期待されています。これまで、磁性体から半導体シリコン中へ電子スピン情報を入力するための手段としては、従来の電子デバイスと同様に電流(電荷)が用いられていました。そのため、多くのエネルギーは熱として消費されてしまうという問題がありました。今回、我々は「スピントンネル・ゼーベック効果」という新現象を発見し、熱を利用してシリコン中へスピンのデジタル情報を入力する手法の開発に成功しました。これにより、廃熱を再利用する新しいグリーンITの実現が期待されます。スピントンネル・ゼーベック効果を観測するための素子の模式図。素子はトンネル障壁層を磁性体とシリコンでサンドイッチした構造を有する。両電極間に温度差を設けることにより、スピントンネル・ゼーベック効果が生じ、シリコン中に磁性体の電子スピン情報が伝達される。印刷法による電子デバイス製造技術(プリンテッドエレクトロニクス技術)は、軽い・薄い・落としても壊れないという特徴を備えた情報通信端末機器(フレキシブルデバイス)の実現と、それらの省資源・省エネルギー製造を可能にする近未来技術として期待されています。産総研では、有機半導体を溶解させたインクと有機半導体の結晶化を促すインクをミクロ液滴として交互に印刷する新手法(ダブルショットインクジェット印刷法)を用いて、分子レベルで平坦な有機半導体単結晶薄膜の作製に成功し、薄膜トランジスタ(TFT)の性能を大幅に改善することに成功しました。スピントンネル・ゼーベック効果による電子スピン情報

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