第3期研究戦略 平成24年度版
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118第三部情報通信・エレクトロニクス分野技術トピックス光で溶ける有機材料(グリーンITと革新デバイス)次世代の不揮発性固体メモリーの一つとして、相変化メモリーの期待が高まっています。しかし、相変化メモリには消費電力が他のメモリーに比較して大きいという欠点がありました。我々はゲルマニウムーテルル合金層とアンチモンーテルル合金層とを結晶成長方向を揃えて成長させた超格子構造と呼ばれる積層膜を用いて、1/10以下の低消費電力化を可能としました。また、トポロジカル誘電性と呼ばれる新しい物理現象を応用することで、非磁性元素から構成される積層構造に磁性を発現させ、常温で2000%もの磁気抵抗効果を発現させることに成功しました。トポロジカル誘電体としての特性を、実際のデバイスとして室温で発現させた世界初の成果です。フォトレジストに代表される感光性材料は、光照射によって、物質の溶解性等が変化しますが、一般的に重合や分解反応などの不可逆な光反応を利用しているため、一度光を当てると、元の状態に戻すことは原理的に困難です。リサイクル感光性材料の開発は、省エネ・省資源につながるグリーンイノベーションの一環として重要な課題の一つです。本研究では、アゾベンゼンの光異性化反応と呼ばれる可逆的(繰り返し可能)な光反応を活用することにより、光によって溶ける有機材料の開発に成功しました。開発した化合物は、光異性化に伴い分子形状が大きく変化します。これらの化合物の結晶に紫外光を照射すると、結晶から液体への相転移が観測されました。熱でこれらの物質を融解させるには、100℃以上の温度が必要ですが、室温下で光を照射した部分だけが液化しました。さらに、一度液体にした状態を加熱すると元の結晶状態に戻りました。この状態変化は、何度も繰り返すことが可能です。本成果は、通常では加熱によって起きる固体から液体への状態変化が、光異性化反応で起きることを示した世界初の例です。超格子型相変化メモリーに磁場を加えたときに発生する電気抵抗変化相変化固体メモリーから巨大磁気抵抗効果の出現ー常温で2000%を越える磁気抵抗比ー (グリーンITと革新デバイス)
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