地域事業計画
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1 産業技術総合研究所の地域戦略と地域事業計画 平成24年3月 産業技術総合研究所 地域担当理事 1.地域に対する現状認識 -地域経済の危機と地域発イノベーションの必要性- (1)「産業の空洞化」による地域経済の危機 現在、地域経済は大きな困難に直面している。その第一は、経済のグローバル化が進む中で、地域産業も中国、インドなどの新興経済地域との間で競争を強いられており、品質面、価格面で厳しい環境におかれている。 さらに、日本の大手製造業は新興の海外市場や低コストの部品調達などを求めて海外へ生産拠点を移しており、これらに部品を供給する地域企業の中からも海外へと生産拠点を移す動きが出てきている。こうした「産業の空洞化」は地域における雇用を減らし、海外に移転することのできない地域の中小零細企業の事業環境をさらに困難なものとしている。 (2)少子高齢化がもたらす将来の経済規模縮小の恐れ 困難の第二は、生まれる子供の数が減少し、一方で65歳以上の高齢者人口の増加が続く、いわゆる「少子高齢化」によって我が国の生産年齢人口(労働力の中核をなす15歳から64歳までの人口)はすでに減少を始めている。こうした生産年齢人口の減少は経済活動の縮小をもたらす。大都市圏に比べて少子高齢化の進行が早い地域経済では将来の経済規模縮小が現実の問題となりつつある。 経済産業省が設置した「地域経済研究会」(座長:大西隆 東大先端研教授)が行ったシミュレーションによると、2030 年には、政令指定都市などの大きな都市雇用圏を除く地方圏においては経済規模の縮小が予想されている。 (3)地域経済の持続的発展のための「地域発イノベーション」の重要性 経済のグローバル化が進む中で、将来の経済規模縮小を食い止め持続的な成長を実現するためには、産業活動のありようを現状とは異なるものに変えていかなければならない、高品質な製品、新機軸な製品を生み出し、地域に雇用を確保する産業を育てていくことが求められる。
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