技術宝箱
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技術紹介15. 耐熱性フィルムを用いた色素増感太陽電池1. 特長高効率の色素増感太陽電池は、導電性ガラス基板上に、高温下で半導体膜を成膜する方法で作られてきた。また、近年では、ガラス基板に換えてプラスチックフィルム基板を用いて組み立てる色素増感太陽電池の開発も加速されている。プラスチックフィルム基板を用いた色素増感太陽電池は、軽く、薄く、割れないという利点からインテリア用や携帯用電源としての用途には最適であり、ロール式連続工程にて生産可能となれば大幅な低コスト削減にもつながることが期待される。また、フレキシブル、カラフル性を生かした更に多くの用途にもつながり太陽電池の普及に貢献できると考えられている。従来のフレキシブルな色素増感太陽電池は、その多くが耐熱性の低いPETやPEN(耐熱温度100℃~200℃程度)などのポリマー等を用いたプラスチックフィルム基板を用いたもので、半導体膜を低温で成膜するものがほとんどである。通常はそれらの基板上に酸化チタン等を分散したペーストを塗布し、基板の耐熱温度以下で処理して電極を作製するものであったが、半導体粒子同士の接合が劣り、電池として性能が低くなる問題があった。酸化チタンペースト中のバインダーは焼成過程で燃焼し多孔構造を形成するのに役立つだけでなく、粒子間を結合させるいわゆるネッキングのプロセスにおいても結合の強化に寄与することが知られている。その為、高効率な電極の作製には400℃以上の焼成が必要であると言われている。近年、産総研において開発された耐熱性フィルム(クレースト)は層状無機化合物を主要構成成分とする自立粘土膜であり、400度以上の耐熱性があり、軽量性、柔軟性、ガスバリア性に優れ、尚かつ透明化も可能な素材である。図1に透明、及び不透明な耐熱性フィルムを用いて作製した酸化チタン電極の写真を、図2に実際に不透明な耐熱性フィルムを用いて作製した色素概要層状無機化合物を主要構成成分とする透明な耐熱性フィルムを基板として用いる光電変換電極。従来の色素増感太陽電池は導電処理したガラス基板に半導体膜を焼成したものを用いて構成されるため、軽さや柔軟性において劣るとされていたが、この耐熱性フィルムを基板として用いることにより軽く柔軟性に富んだ光電変換電極を作成することができる。また、従来のプラスチック基板では半導体膜を低温焼成することしかできなかったが本フィルムに置いては350℃での焼結が可能であり、高性能化が期待される。図1 耐熱性フィルム基板電極(左)透明膜、(右)不透明膜92中小企業のための技術宝箱
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