技術宝箱
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産総研での色素増感太陽電池研究では、①色素の合成、②太陽電池に組込み評価、③公的な性能評価ができる。ここに解説するのは①色素の合成技術である。1. 色素増感太陽電池の特長弱い光でも発電することができ、使用状況によっては現在一般的なシリコン系太陽電池に替わることもできる。さらに今までの太陽電池に比べて材料の資源的制約も少なく、製造コストも安く、高性能な次世代型の太陽電池の候補の1つである。実用化を目指して、性能の向上や低コスト化のための新材料や製造プロセスの開発が活発に進められている。その中で増感剤として使用する色素は、色素増感太陽電池の構成要素として極めて重要であり、その特性は電池の光電変換効率や耐久性等に大きな影響を与える。現在までに、種々の増感色素が開発されてきた。特に、ルテニウム錯体色素は、高い光電変換効率を示す有望な色素である。しかし、一部のルテニウム錯体色素では、熱や光の刺激により配位子の解離やシス体とトランス体の間の異性化反応の可能性があり、時間経過に伴う電池性能低下の一因となっている。従って、熱や光に対してより安定で、かつ高い光電変換効率を示す新しいルテニウム錯体色素の開発が強く求められている。2. 本技術の色素今回新たに開発したルテニウム錯体色素は、2座配位子のビピリジン誘導体がトランス型に配置された安定な構造で、これを色素増感型太陽電池の金属酸化物半導体電極を修飾する増感剤として用いると、従来の同種のルテニウム錯体を使用した場合に比べ、光電変換効率を高めることができる。色素増感太陽電池のプロトタイプ新たに開発したルテニウム錯体の例 その化学式と立体構造141 紹介する技術とポイント2 技術説明高性能色素増感太陽電池の開発ルテニウム錯体色素の合成と太陽電池への応用変換効率の高い低コスト色素増感太陽光発電システム84中小企業のための技術宝箱

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