技術宝箱
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1. 原理物質の性質は、その対称性に依存している。対称性が崩れている物質にはおもてうらがある。2. 従来の技術X線回折法は非破壊で簡便な構造評価法として、バルク試料から薄膜試料まで、単結晶から配向性多結晶にまで、さらに無機材料から有機材料に渡る広い範囲の結晶評価に用いられている。しかし、X線回折法は、裏表のある(反転対称性のある)結晶への適用は困難であり、さらに薄膜試料への適用例はなかった。バルク結晶ではX線の吸収を利用して、裏面と表面を2度測定することにより表裏の判定が可能(図1左)。しかし、薄膜試料では基板が測定の邪魔になり一方の面しか評価できない(図1右)。片方の面だけの測定では、表裏を判定することはできなかった。3. 本技術の特長薄膜の膜厚をパラメータとして導入することにより薄膜でも表裏の判定を実証できた。表裏のある半導体結晶としては、GaAs(閃亜鉛鉱構造)、GaN(ウルツ鉱構造)、ZnO(ウルツ鉱構造)がよく知られており、図2にはZnOの結晶模型を示し、一方の面がZn極性面であり、反対の面がO極性面。結晶の表裏では電気分極効果、ドーピング効果が大きく異なるため制御が重要である。例えばZnOを表面弾性波素子や圧電素子として利用する場合には、表裏で発生するピエゾ電圧が反対になるため制御が重要な課題となる(薄膜結晶の極性判定に使用できる)。図2 ZnOの結晶模型。Zn面とO面(おもてとうら)が存在する。図1 X線回折法による表裏の判定測定の概念図(バルク結晶および薄膜結晶)121 紹介する技術とポイント2 技術説明非破壊で簡単に薄膜試料のおもてうらが判別できる単結晶から多結晶、無機物から有機物まで広い範囲に適用できるX線回折法による薄膜のおもてうら判定72中小企業のための技術宝箱
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