技術宝箱
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技術紹介環境・エネルギー11. 殺菌もできる深紫外線ダイヤモンドLED2. 本技術の背景波長が360 nm以下の紫外光源は、殺菌・浄水、高密度光記録用光源・蛍光分析等の各種情報センシング、医療・バイオ分野、等への幅広い応用用途がある(殺菌には260 nmの光が、効率が良いJISZ8811)。このため、小型軽量化が可能な紫外線LEDの実現が必要とされている。現在は主にAlGaN系半導体材料で精力的に研究が進められているが、高い電流密度でのデバイスの自己発熱による発光特性の劣化などの問題を抱えている。一方、ダイヤモンドは物質中で最高の熱伝導度をもち、それ自体が高効率で熱を放散するヒートシンク(放熱)材料である。また、非常に高い硬度・透明性・絶縁破壊電界・移動度などの優れた半導体としての物性を併せ持っており、光デバイス・電子デバイスなどへの応用が期待されている。LEDへの応用では、小型・長寿命ばかりでなく、高電流密度・高温動作などの高性能化が期待できる。このように、ダイヤモンド半導体はLEDとしての長所を多くもっているが、これまで、あまり研究されてこなかった。それは、ダイヤモンドが間接遷移型半導体であるからである。一般に、半導体には「直接遷移型半導体」(ガリウム砒素、窒化ガリウムなど)と「間接遷移型半導体」(シリコン、ゲルマニウム、ダイヤモンドなど)の2種類のタイプがある。これまでの一般常識では、間接遷移型半導体の発光効率は極端に低いため、LEDなどの発光効率が高くなければならないデバイスには直接遷移型半導体しか使えないと考えられてきた。シリコンによるLEDがないのはこのためである。我々は、ダイヤモンドの235 nmの発光が励起子という特殊な状態を介して生じる点に着目し、励起子について詳細な研究を行ってきた。その結果、ダイヤモンドは他材料よりも高密度に励起子を生成でき、この高密度励起子状態を利用すれば、原理的には間接遷移型半導体であっても高出力のLEDが実現可能であることがわかってきた。我々は、実際、ダイヤモンドpn接合からなるLEDにおいて、高電流注入することにより、高密度励起子状態を形成し、この状態に特有な現象を観測した。すなわち、注入電流に対して、励起子の発光強度は非線形的に増大し、一方で欠陥準位からの可視の発光強度は飽和した。これは、注入電流量を増加していけば、ダイヤモンドが間接遷移型半導体であっても、直接遷移型半導体の発光効率に近づいていけることを実験的に示したことになる。我々は、さらに、励起子の発光効率を向上させるために、不純物を含まない層( i 層)を発光層とするpin接合構造を作製し、強い励起子発光を実証することに成功した。p-n接合:p型半導体とn型半導体を接触させた界面に形成させる領域。ダイオードとしての整流性、発光ダイオードとしての光放出、太陽電池としての光電変換など、半導体デバイスの様々な機能をもたらす源となる。PiN接合:真性半導体の層を間に挟んでp-n接合を形成することにより、p-n接合の実効的な幅を拡張したもの。iは真性(intrinsic)から来ている。通常のpnダイオードに比べて、より高電圧に耐えられる。69

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