技術宝箱
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1. これまでの技術有機化学の手法ではタンパク質を作ることは現在も難しく生物に作らせるのがよい。しかし、(核のあるような)高等生物のタンパク質を作らせる場合は、大腸菌のような原核(核がなくDNAが細胞内にそのまま存在する)生物であると、生産されるタンパク質が活性のない不溶性タンパク質となってしまう場合が多い。このような場合、低温で生産させることで活性のある可溶性タンパク質として生産できる場合があるが、従来のタンパク質生産技術での低温での生産は著しく生産量が減少してしまっていた。一方、真核(DNAが核に包まれている-人間も同じ)生物に作らせると、活性がある可溶性タンパク質として生産できる場合が多いが、一般的に生産量が少ない。酵母は安価に培養でき、安全な真核微生物であるため、タンパク質の生産に適した優れた特徴を持っているが、従来の酵母のタンパク質生産技術ではあまり生産量が多くなかった。2. 本技術出芽酵母の低温に適応する仕組みを解析し、低温条件において高効率にタンパク質生産を行わせるために、低温誘導性プロモーター(遺伝子のスイッチ領域)を見いだした。このプロモーターを用いて、目的のタンパク質の生産ができるように遺伝子組換えをした酵母を、通常の培養温度(30℃)で途中まで培養を行い、その後、10℃~4℃の低温条件で、引き続き培養(72~96時間程度)を行うことで、目的とするタンパク質を生産させることができる。本技術を用いて、緑色蛍光タンパク質の生産を試みた結果、従来の生産技術よりも高い生産量が得られた。また同様に、様々なヒト由来タンパク質の生産を試みた結果、その多くが可溶性状態で生産でき、高い成功率を有していることも明らかになった。531 紹介する技術とポイント2 技術説明酵母を使った低温での効率の良いタンパク質生産技術出芽酵母における従来の発現系よりも高い発現量と成功率低温 (10℃) で酵母を使って効率よくタンパク質を作る318中小企業のための技術宝箱
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