技術宝箱
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1. 概要電気を通し、蒸発しにくい液体である“イオン液体”という大質量のイオン種をエレクトロスプレー法により、イオンビームにする技術。イオン液体は、蒸気圧が非常に低いという特徴も持ち、大気中だけではなく真空中でも、また、帯電液滴などの大質量イオンも集束性良くビーム化できる。図1 クラスターイオンビーム照射は、多くの利点を持つ。2. 応用1表面加工用。大質量イオンを照射すると、表面近傍のみを削り、材料内部への損傷を抑制できる(図1)、有機材料などのソフトな材料の表面加工にも使える。3. 応用2二次イオン質量分析(Secondary ion mass spectrometry、SIMS)。SIMSは、質量分析法を用いた表面分析技術の一つで、固体試料の表面にビーム状のイオン(一次イオン)を照射し、発生したイオン(二次イオン)を質量分析により検出する。本方法によれば、今までの一次イオン種(C60+、Au3 +、Bi3 +などの多原子からなるクラスターと呼ばれるイオン)によるイオンビームではなく、より大きな質量を有するイオン種を生成でき、“ガスクラスター”や“水溶液の帯電液滴”などの巨大なクラスターイオン(イオンビーム径数10 μm以上)よりも収束性の良いイオンビームにより高い面分解能を提供できる。(図2)図2 二次イオン質量分析法(SIMS)の概念図4. 原理エレクトロスプレー法は、イオンを含有する液体を導電性の細管に供給し、その細管に数kVの高電圧を印加することで、細管先端から液体を霧状に噴霧させる技術である。一般的に、エレクトロスプレー法では、多価の帯電液滴や多原子イオンを気相中に生成できる(図3)。細管に印加する電圧を正極性とした場合には(正イオンを過剰に含有する)正電荷の帯電液滴が生成され、負極性の高電圧を印加した場合には(負イオンを過剰に含有する)負電荷の帯電液滴を生成できる。図3 エレクトロスプレー法では、テーラー・コーンから多価の帯電液滴やクラスターイオンが気相中に放出される。411 紹介する技術とポイント大質量イオンを細くビーム化できるイオンビーム発生装置 エレクトロスプレーでイオンビームを生成し、表面分析や表面加工に応用2 技術説明細くて大質量のイオンビーム発生装置246中小企業のための技術宝箱
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