技術宝箱
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技術紹介40. 高圧流体を連続的に微量とりわけるバルブ1. 特長高圧流体の特長の一つに、圧力に依存して、溶媒としての物性が変化し、これにより相の変化や物質を溶解、混合する特性を容易に制御できることがある。そのため、高圧流体をプロセス溶媒として使用する際には、圧力による特性の変化を把握し、操作条件の制御を行うことが極めて重要である。高圧流体中への物質の溶解度や存在状態を分析する上では、微量を外部にサンプリングした後に分析等を行うオンライン分析の手法が広く行われている。オンライン分析では、一般に導入するサンプルの量を正確に求めることが必要であるが、低粘度、高圧の流体においては、微小流量を精度よく制御できる開閉バルブ等の作成が困難であり、定められた容量を持つサンプルループ中に高圧流体を導入し、バルブ等による流路の切り替えにより分析装置に導入することが一般的である。しかしサンプルループ切り替えによるサンプルの導入に際しては、サンプルループを元に戻すときに、分析装置側の雰囲気が高圧流体側に持ちこまれるという大きな問題がある。高圧流体の場合、微量の副成分により物質の溶解度や特性が大きく変化するため、測定対象への影響が大きく、正確な測定が困難になる。分析機器側の雰囲気を持ちこまないようにする手法は複数のバルブの組み合わせで実現可能ではあるが、配管やバルブ内のデットボリュームが大きい、接続点が多いため圧力の保持やメンテナンスの上で不利、バルブ操作が煩雑で自動化の障害となる、等の問題があった。本技術の特徴は、分析機器の雰囲気を高圧流体側に持ちこむことがなく、シンプルな機構でかつデッドボリュームの少ないサンプリングシステムを実現したことである。またこのシステムは、高圧流体側へ常圧側から物質を持ち込む場合にも使用することが可能である。2. 本技術の背景高圧流体のうち、超臨界二酸化炭素(臨界温度313 K,臨界圧力7.3 MPa以上の状態にある二酸化炭素)については、比較的穏和な条件で使用することが可能であること、疎水性有機溶媒類似の性質を持ちつつ、不燃性、低毒性、環境調和性など溶媒として優れた性質を多く持つことから、プロセス溶媒としての実用化研究が進んでいる。産総研では薬剤の微粒子化やDDS材料など医用材料の製造で、高圧二酸化炭素(超臨界CO2,液体炭酸、エタノール=CO2混合溶媒など)の利用を検討している。様々な薬剤の微粒子化やDDS材料などの医用材料の製造においては、粉砕や有機溶媒による含浸、加熱成形などのプロセスが多用されているが、熱による薬剤の失活や、微量の有機溶媒の残存による人体への害が問題となっている。高圧CO2をプロセスに利用することで、これらの問題を避けることが可能である。概要各種ナノ材料や機能性化学物質を、“欲しいときに”、“必要なだけ”、製造するためのプロセス技術は、物質、材料の製造に懸かるエネルギー消費を抜本的に抑制する上で、また各種化学物質による環境への負荷を低減するために必要である。産総研では、圧縮ガスや超臨界流体などの高圧流体と、マイクロリアクターの組み合わせにより、このようなプロセスの実現に向けた各種技術の開発を行っている。本技術は微量の高圧流体のサンプリングや導入のためのバルブとシステムを開発したものであり、極微量の高圧流体をシンプルな機構で高圧側から取り出す、あるいは高圧側に導入することを可能とした。242中小企業のための技術宝箱
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