技術宝箱
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技術紹介38. 焼結温度の異なる材料を一体成形する焼結技術る新しい硬質材料の開発が急務となっている。そこで、産総研では、炭化チタンをベースとした新しい硬質材料候補としてTi3SiC2-TiC系二相材料に着目し、硬さと機械加工性を兼ね備えた材料開発に着手した。一方、融点の高い金属間化合物やセラミック材料は溶解が難しく、固化成形には焼結法が有効である。しかしながら、従来の焼結手法では、焼結時における被焼結体中の温度分布に意図的に差をつけることは検討されてこなかった。そのため、融点の異なる材料群から焼結によって複合材料を製造することは困難であった。この問題を解決するために、本技術では被焼結体の焼結温度を部位ごとで任意に変えることのできるトラベリングゾーンシンタリング法を開発し、上述の材料へ適用することによって、全体の緻密性を確保しながら傾斜的特性をもつ材料を一体成形する技術の開発を行った。3. 本技術の背景三元系化合物Ti3SiC2は、セラミックスでありながら優れた電気伝導性や熱伝導性を有し、切削加工もできるという特長をもち、耐熱性にも優れ高温環境や腐食環境などの極限環境にも対応可能な新材料として注目されている。産総研では、その合成に技術について研究を進めた結果、原料粉末の配合割合を調整することによってTi3SiC2-TiCの二相組織が得られ、さらにその組織割合を自在に制御できることを見いだした。この材料を、加熱部位ごとに焼結温度を任意に設定することのできるトラベリングゾーンシンタリング法に適用した結果、傾斜機能を有する良好なTi3SiC2-TiC二相材料を合成することに成功した。本技術は、その他にもチタンと銅、アルミとセラミックスなど融点または焼結温度が大きく異なる材料を一体焼結し、複合材料とする技術への展開も期待できる。従来から、傾斜機能材料は焼結法によって製造されてきたが、これは全体を均等な温度で焼結できるものに限定されていた。本技術は、その適用範囲を任意の温度分布による一体焼結へ拡大できるという点で画期的な技術であり、産業上の効果は非常に大きいものと考えられる。ナノテクノロジー・材料・製造231

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