技術宝箱
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1. 今までの技術融点の高い金属やセラミックスなど溶解の困難な材料の成形において、粉末を加熱して固める焼結技術はきわめて有効な手段である。しかしながら、それぞれの材料には好適な焼結温度があり、焼結温度の異なる材料群を同時に焼結することは困難であった。2. 本技術この問題を解決するために、それぞれの原料粉末に対して適合するよう焼結温度を変化させながら小さく限定した加熱領域を順次移動させることによって複合材料を一体焼結する手法を開発した。トラベリングゾーンシンタリング法と命名されたこの方法の概略を図1に示す。これは、原料粉末を充てんしたモールドの側面に電極を押し当て、電極の幅に相当する限られた領域のみを加熱しながらステージを昇降させて連続的に焼結していくものである。この方法では、それぞれの位置で任意に電流出力を可変できるので、材料にあわせて焼結温度を調節することができる。この方法をTi3SiC2-TiC系傾斜機能材料に応用した例を紹介する。TiCは優れた硬さをもち超硬材料の代替として期待されているが、その硬さゆえに機械加工が困難である。一方、Ti3SiC2は機械加工の容易なマシナブルセラミックスである。Ti、SiおよびTiC粉末を出発原料とし、その配合割合が1:1:XとなるようXの値を1.8~7.0の間で変えながらモールドに充てんし、その組成に見合うよう焼結温度を変えながら棒材を焼結した。その結果、TiCの配合割合により焼結体の組成は連続的に変化し(図2)、TiCの割合が増えるにつれて硬さは向上することが確認できた(図3)。この方法を応用することにより、先端が硬く反対側は容易に機械加工できる棒材を製造することが可能となった。381 紹介する技術とポイント2 技術説明任意の温度プロファイルにより材料を焼結する技術の開発チタンと銅など焼結温度の異なる材料を連続焼結長手方向に硬さが連続的に変化する棒材を一体成形焼結温度の異なる材料を一体成形する焼結技術図1 トラベリングゾーンシンタリング法図2 焼結したTi3SiC2-TiC系傾斜機能棒材図3 Ti3SiC2-TiC系傾斜機能材料の硬さ分布228中小企業のための技術宝箱
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