技術宝箱
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技術紹介環境・エネルギー03. 水溶媒でもできるクロスカップリング反応装置2. 本技術開発の背景全ての物質は、高温高圧になると、性質が大きく変わり、水もその例に漏れない。特に水は、極性が大きく変化することが特徴で、臨界点374℃、22 MPaより高温高圧の超臨界流体になると、これまで溶解していた塩化ナトリウムなど塩類の溶解度は下がり、逆に有機化合物の溶解度は大きく上がる。更に水のイオン積([H +]×[OH -])も大きく変化し、常温常圧では、10 -14だった値が、臨界点より少し低い亜臨界流体では、10 -11近くまで増大し、一方超臨界流体になると、10 -20まで下がる。自然界では、深海の熱水噴出孔や海底火山などの付近が、このような高温高圧水の状態になる。私たちは、この高温高圧水を使った様々な有機反応を研究・解明することで、今までにない革新的な物質合成技術の開発を進めている。従来は、水熱合成法として、超臨界水より温度・圧力の低い領域での化学として無機反応を含めた多くの報告例があった。これに対し、我々は、より高温高圧領域での反応技術とノウハウを駆使して、超臨界領域を含む幅広い領域の水の性質を余りなく利用する検討してきた。しかし、バッチ式で行う限り、高温高圧条件に達する前に、多くの有機化合物は加水分解などで分解してしまい、目的の反応条件に達する頃には、原料が消費されてしまう。そのため、特に精密な有機合成には不向きであることが一般的な見解であった。その問題を一気に解決したのが、高温高圧とマイクロリアクターの融合技術である。高温高圧水-マイクロリアクターの融合技術により、離散的な温度可変・安定した温度・圧力制御・精密な反応制御が可能となった(図1)。即ち、室温から400℃までの昇温・降温がミリ秒オーダーで可能となり、同時に反応時間も、同じくミリ秒オーダーでの制御が可能である(図2)。これにより、副生成物の生成を限りなく抑制させつつ、目的の反応を優先的に起こさせ、反応時間を精密に制御することで、従来では困難だった多くの反応が可能になる上、分離精製等も簡便になった(図3)。当該技術は、各種反応に対応できることから、現在は、耐高温高圧水の固定化触媒を新たに開発し、特に高付加価値物質の合成をターゲットとして、それらに必要な各種反応を検討している。更に、従来の10倍以上の混合効率を実現した高温高圧マイクロリアクターを開発することで、反応システムの小型化など、更なる効率化を図っている。21

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