技術宝箱
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技術紹介36. 貫通した細長い孔をもつセラミックス多孔体方向に平行方向、垂直方向の切断面である。凍結方向に平行方向の組織では、配向性が良好の円筒状細孔が観察された。凍結時の氷結晶が形成し、ゲル内の粉体が氷結晶側面に押し退かされ、このような形状を形成したものと推察される。一方、垂直方向に切断した微細構造では、ハニカム状の微細構造が観察された。これは、従来のフォーム法や有機物テンプレート導入、またスラリー凍結法では形成されない非常に特異的な構造である。一般的にスラリー凍結法では、氷の樹枝状構造に由来する微細構造が得られる。氷結晶の樹枝状成長をゲル化剤が抑制したものと考えられる。更に、凍結温度によって明らかに異なる組織が観察された。-10℃で凍結させた試料では、セルサイズが粗大であり、-40℃で凍結させた試料はセルサイズが微細であった。一般的に0℃から-7℃の間を最大氷結晶生成帯と呼んでおり、この温度域を急速に冷却(冷媒温度が低いほど)することにより氷結晶サイズは微細になる。ゲル内での凍結現象の解明を進め、筆者らは凍結温度により高精度に細孔径をコントロールできる技術も開発している。以上のように、ゲル化凍結法は、配向性の優れるハニカム構造に似た細孔形状を付与することが可能であり、同時に様々なサイズの細孔径を持つ多孔体を成形することが可能である。2. 開発の背景など多孔体は内部に細孔(空隙)を有し、廃水や排ガス等に含まれる有害物質を細孔のサイズによってふるい分けるフィルターや、触媒担体など環境浄化部材として利用されている。セラミックス多孔体は、プラスチックをはじめとする樹脂材料や金属材料よりも耐熱性や耐腐食性が優れていることから、過酷な環境での使用ができる。特に近年、資源の有効利用の観点から水のリサイクル(フィルターで廃水から有害物質を取り除き、工業用水等に再利用)、産業機器や自動車から排出される人体に有害な微粒子を除去するための脱塵フィルターなどにセラミックス多孔体の更なる適用が期待されている。従来、多孔体製造には原料セラミックス粉体が緻密化しない温度で焼成する方法が用いられており、気孔率は最大でも50-60%程度であった。高気孔率化を得るためには、樹脂ビーズや炭素などの造孔剤をセラミックス粉体に大量に添加し、酸化除去することにより細孔とする方法もある。しかし、この方法では、造孔剤が除去されて形成された細孔が孤立して存在し、細孔同士の連通性が悪くなる点が問題となっていた。219ナノテクノロジー・材料・製造

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