技術宝箱
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技術紹介35. 電気で切替 調光ミラー3. 特性デバイス(基材:PET)の切り替えに伴う光学スペクトル(透過率と反射率)の変化を示す。図のように可視光(約380~780 nm)のみならず赤外光(約780 nm以上)に至る長い波長領域で光学特性を制御できる。特に赤外光は太陽光線に含まれる熱成分として知られている。4. 実用化への道この切り替えが何回行えるか(繰り返し耐久性)が重要であり、加速試験的な電圧印加によるモニタリングを行ったところ、数10ナノメートルの調光ミラー層および数ナノメートルの薄い触媒層成分が徐々に固体電解質層中へ拡散することで劣化が進展し、調光ミラー層が金属状態(鏡)に戻らなくなる課題があった。本発明により構成薄膜の強度を保つために固体電解質層と触媒層間へ数ナノメートルの薄いバッファ層を挿入することで劣化を緩和し、数千回以上の繰り返し耐久性を発現することができた。また、開発初期は電極近傍のみの非常に狭い領域の切り替えであったが、バッファ層挿入により面内方向の導電性も担保でき、広い面積を一様に切り替えることも可能となった。5. 本技術の背景一般に建物の窓ガラスは大きな熱の出入口になっており、例えば、夏の冷房時に窓から熱が入る割合は7割以上にも達する。同様の現象は、窓ガラスが大きな熱の出入口となっている自動車など移動用車両にも当てはまる。炎天下の環境に置かれた車内は非常に高温になる。そのため、換気や冷房使用などによるエネルギー消費が増加する一因となっており、環境負荷低減には光及び熱の出入を可変的に制御できる調光窓ガラスが望まれている。調光窓ガラスの中でも電流・電圧の印加により可逆的に透過率が変化する材料を用いた代表的な調光窓材は光を吸収することで室内側への熱の進入を抑制するが、この調光材料を使用すると調光材料が光の吸収により熱を持ち、その熱が室内に再放射される問題が生じる。そのため、光を吸収することにより調光を行うのではなく、光を反射することにより調光を行うほうが良い。つまり、鏡の状態と透明な状態を可逆的に変化する反射型調光材料を用いることによって、調光材料の吸熱による室内への熱進入が防止できる。このような特性を有する反射型調光窓材として調光ミラーデバイスが挙げられる。調光ミラーデバイスは、電気的な切り替えを用いて光及び熱の透過状態を制御することができる。図 バッファ層挿入による調光ミラーデバイス特性への効果213ナノテクノロジー・材料・製造
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