技術宝箱
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技術紹介32. ナノメートル透明薄膜の膜厚と屈折率を同時に決める1. 特長・透明基板上の薄膜に適応しており、また薄膜による光吸収があっても良い・通常の分光光度計がベースなため、分光エリプソメトリー法よりも低コスト・膜の光学モデルが不要である一方、もし光学モデルがあればより有用性の高い情報を得られる2. 本特許の知財権としての問題点・本技術の対象はラングミュア・ブロジェット膜にも有機薄膜にも限らないが、特許の請求範囲がラングミュア・ブロジェット膜への適用に限定されている。・ラングミュア・ブロジェット膜以外の薄膜に本技術の原理を適用するについては、本特許から容易に想到し得るため、新たな特許とすることは不可能と考えられる。(既出版論文もある。)・事業化に当たっては、新たに装置的な工夫も行ってその知財権を獲得することが望ましい。3. 開発の背景有機薄膜が科学的・工学的観点から注目を集めている。これらの評価では、屈折率(複素屈折率)とその波長依存性は重要である。不透明基板上に堆積させた単分子膜の厚さと波長依存性の屈折率を同時に決定できる分光エリプソメトリー法は、強力な手法である。また、金属基板上に堆積させた膜に関し図3 白板ガラス基板の片側に堆積した酸化亜鉛(ガリウムドープ)薄膜を本技術で評価。膜面内の成分について、実部(赤点)と虚部の絶対値(青点)を図示。1000 nm付近で比較的大きな誤差が生じているが、これは成膜が進むにつれて欠陥が減少するために膜が膜面法線方向に一様ではないことが原因。ピンクと水色の線は、光学モデルを採用して欠陥に起因する問題を回避した場合の結果。概要産総研では、ラングミュア・ブロジェット膜と呼ばれる有機薄膜の評価に関する研究を行っている。このような薄膜の膜厚と波長依存性のある屈折率を同時に決定する方法としては「分光エリプソメトリー」と呼ばれる方法が有力である。しかし、分光エリプソメトリー法は装置が高価な上に、通常はシリコンなど不透明基板上の薄膜にしか適用できない。薄膜の物性は基板に大きく影響されるので、半導体基板や金属基板上の薄膜として評価しても、透明基板上の薄膜にはその結果が適用できない場合がある。そこで、通常市販されている分光光度計を用いることでコストを抑えつつ、透明基板上薄膜の膜厚と波長依存性のある屈折率とを同時に決定する技術を開発した。194中小企業のための技術宝箱
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