技術宝箱
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1. これまでの技術固体表面上に微細パターンを形成する技術は、半導体製造、回路印刷、MEMS、表示・照明用材料、医療用デバイス等、先端的デバイス開発分野で重要である。微細パターンは、シリコンや無機物を主な対象材料としてきた。また、その製造過程では有機物であるホトレジストが重要な役割を担ってきた。ホトレジストは感光性フィルム(高分子)で、感光部または未感光部のみを現像によって除去でき、その後、エッチング耐性の違いにより回路形成が行える。ホトレジストは、製品の最後まで残らない裏方的な材料だが、有機物のパターンをそのまま残し直接用いることも、大面積化、フレキシブル化、生体とのインターフェースの重要性、エネルギーコストや環境負荷を考える時、必要になってくる。2. 本技術分子の機能を固体表面上に導入する方法、特に任意の表面位置に、高い精度で、複数種の分子を、設計どおり導入するため、表面光接ぎ木(グラフト)法による分子修飾法に用いる専用の感光性ポリマーを開発した。どのようにして分子パターニングが得られるか、概念図を以下に示す。開発した感光性ポリマーは、ポリマー中にあるクロメン骨格(C)が、光反応して活性な構造(R)に変化すると、特定の基質(F)を持つ分子(P)と熱的に反応して、Pが結合したポリマーを与えるという特徴を持つ。薄膜化した感光性ポリマーに光照射してRを発生し、次々と、反応基質Fを持つ異なる分子(P1、P2、P3、P4、…)と接触することにより、P1、P2、P3、P4等の異なる分子で修飾された表面を形成できる。実際に感光性ポリマー膜にホトマスクを介して紫外光照射した後、機能性分子の溶液を塗布し一定時間保持、洗浄、乾燥することにより、機能性分子が薄膜上に導入できた。簡易な装置を使った密着露光評価でも、10 μm程度の分解能が簡単に得られる。薄膜の最外層での付加反応を利用するため、将来的にはさらに高分解能な分子パターニングも可能である。位置選択的表面光グラフト法による分子パターニングの概念図292 技術説明1 紹介する技術とポイント光反応性の高分子膜を使用し固体表面へ機能性分子のパターン形成を行う表面上の所望の位置に、所望の分子を、高い位置精度で導入できる 光接ぎ木(グラフト)法による表面のマイクロパターニング接ぎ木(グラフト)法:高分子を反応させるときに、接ぎ木の様にもとの高分子骨格とは異なる分子を側鎖に合成していく方法。様々な機能を持った分子を高分子に付加することができる。174中小企業のための技術宝箱
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