技術宝箱
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技術紹介26. 樹脂封止しない超高出力LED2. 原理理論解析および発光強度の空間分布測定により解明した発光効率増大現象のメカニズムを示す。下図は量子井戸で発生した光が時間の経過にともなって、どのように伝でんぱ播していくかを示すシミュレーション結果である。量子井戸で発生した光が発光材料の傾斜した面と空気との界面(図中の緑色の点線)に到達すると全反射にともなって左右対称の二つのエバネッセント光(図中の黄色い矢印)が発生し、この二つのエバネッセント光が頂上の平坦面に向かって進み、微細な頂上平坦面で互いに結合することで、効率よく空気伝でんぱ播光(白い矢印)に変換されている様子が分かる。3. 従来技術LEDの発光効率を向上させるためには、半導体内部の光をできるだけ高い効率で外部(空気中)に取り出さなければならない。しかし、半導体と空気との界面は、光の全反射現象が存在するため、外部に取り出せるのは全反射の臨界角より小さい角度で界面に入射する光、その量は全発光量の数%でしかない。残りの90%以上の光は界面で全反射され、直接外部に取り出すことが不可能である。従来、全反射成分の光を取り出すためには、全反射された光の伝でんぱ播方向を散乱・回折などの方法で変更させ、再度取り出し円錐の中に入れなければならない。また、光が一回の再入射で取り出される確率が非常小さいため、通常、裏面に反射率の高いミラーを設け、光を取り出し面とミラーとの間で多重反射を繰り返させる方法が一般的に用いられていた。しかし、その場合、光の一部は半導体層やミラーによって吸収されるので取り出し効率を極限的に高めることは原理上ほとんど不可能である。例えば、GaN系LEDの場合、反射率の最も高い銀ミラーを用いても約2割の光量ロスが発生する。さらに、従来では、より大きな取り出し円錐を得るために、表面形状が半球状の樹脂でLEDチップを封止する処理が一般的に行われていた。しかし、樹脂は熱や紫外線に弱く、樹脂封止はLEDの高出力動作を妨げる大きな要因となっていた。エバネッセント光が結合によって空気伝播光に変換される過程を示すシミュレーション結果(fs=フェムト秒)ナノテクノロジー・材料・製造159

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