技術宝箱
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技術紹介02. シリカ細孔を利用したタンパク質工場1. 特長1.本技術は、高濃度タンパク質の凝集による失活を抑制し、シリカ細孔内において個々のタンパク質を分散させた状態で安定に固定化できる。例として、蛍光性タンパク質の場合、細孔内に固定化していないタンパク質は高濃度領域において蛍光活性の低下と変性にともなう蛍光波長のレッドシフトを示すが、細孔内に内包したタンパク質は、高濃度領域においても適切な蛍光活性と波長を維持できる(図A)。このように、タンパク質を高密度集積させて比活性を高くしたメソポーラスシリカ―異種タンパク質複合体を構築できるため、複数のタンパク質及び酵素を用いた多段階化学反応場を提供できると考えられる。2.シリカ細孔内へ固定化した異種の酵素・タンパク質は10 nm以内に近接した状態で高密度に集積化できるため、異種タンパク質間の物質移動距離が短くなり、その結果、多段階酵素反応の反応効率を飛躍的に向上できる。蛍光性異種タンパク質を例に挙げると、タンパク質間の相互作用は蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を検出することにより解析できる。異種タンパク質の濃度が増大しシリカ細孔内での異種タンパク質の距離が縮まることで、エネルギー移動効率が増大する。さらに、細孔径の違いにより細孔内におけるタンパク質の配向を変化でき、これにより、至適のエネルギー移動効率に制御することが可能である(図B)。3.シリカ細孔内への固定化により異種酵素の耐環境性(外的要因によるタンパク質分解の抑制等)が向上し、さらに異種の酵素活性を安定に発現可能な複合体を提供できる(図C)。図A メソポーラスシリカによる凝集体形成の抑制効果:(a)蛍光性タンパク質sGFPのみ,(b)メソポーラスシリカ―sGFP複合体(Matsuura, S. et al. (2008) Bioconjug. Chem. 19, 10-14)図B エネルギー移動効率に与えるシリカ細孔径の影響 (Matsuura, S. et al. (2010) Micropor. Mesopor. Mat.131, 245-251)概要本技術は、メソポーラスシリカ材料の規則性細孔内部に触媒機能または蛍光・発光性等の機能を有する異種タンパク質を、安定に活性を保持して、且つ大きな吸着量で吸着担持させたメソポーラスシリカ―異種タンパク質複合体の製造方法を提供し、異種機能の集積化により反応効率等を向上させるものである。14中小企業のための技術宝箱
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