技術宝箱
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技術紹介17. さまざまな光を効率よく反射するシリカ中空微粒子1. 特長産総研では、独自のW/O/Wエマルジョンを用いた界面反応法(図1)により、シリカや炭酸カルシウム等の球状中空粒子(マイクロカプセル)の研究開発を行ってきた。この界面反応法は、図1に示すW/O/Wエマルジョンが壊れる際に二つの水相(水溶液)がエマルジョン界面で混合するため、球状界面上に沿って固体マトリックスが形成されることを利用している。この方法でシリカ中空粒子を製造する場合、例えば以下のような特長を持つ。1. 多くの中空粒子製造法とは異なり、コア(核)となるテンプレートを必要としない2. シリカの原料に安価な水ガラスを用いることができる3. 水ガラス溶液に添加物を加えることで、シリカ中空粒子を自在に改変することができる今回開発した技術は、この界面反応法に用いる水ガラス溶液に塩化ナトリウムを加えることで、生成するシリカ中空粒子の殻部分の構造を変えることである。図2には塩化ナトリウム無添加の場合と添加した場合のシリカ中空粒子のSEM像を示す。塩化ナトリウムを加えずに合成した粒子表面は平滑である一方、添加した中空粒子の殻はナノ粒子で構成されていることがわかる。一般に光がその波長と同程度のサイズである微粒子に照射されると、光は強い散乱(ミー散乱)を起こすことが知られている。上述のように塩化ナトリウムを加えて得られたシリカ中空粒子の殻部分には、紫外線や可視光と同等サイズのナノ粒子が存在し、このナノ粒子により光は散乱を起こすと考えられる。見かけ上も、通常のシリカ中空粒子は透明性を持つが、塩化ナトリウム添加で得られた中空粒子には透明性はない。図3には、この二つのシリカ中空粒子と市販のクロマトグラフ用シリカゲルの紫外可視スペクトルを示す。通常のシリカ中空粒子は、材料内部が詰まったシリカゲルより光を多く反射している。一般に中空構造を持つ材料は、内部が充填している材料より光を散乱させる効果が高く、この反射性能の差はこの効果によると考えられる。一方、塩化ナトリウムを加えたシリカ中空材料は、紫外線を含めてほとんどの光を反射している。これは、シリカ粒子の中空性と共に殻中のシリカナノ粒子が強いミー散乱を引き起こし、その結果として光を乱反射させたものと考えられる。概要水ガラスを原料として用い、一段の簡便な方法で、数百nmのシリカナノ粒子から成る殻を持つシリカ中空粒子の製造方法を開発。こうして得られた中空粒子は、紫外線から近赤外線までの光を効果的に反射。この光性能は、紫外線や近赤外線(熱線)の除去技術等への応用が期待できる。104中小企業のための技術宝箱

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