Vol2-7
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……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………26AIST Today 2002.7(4)ダイヤモンドの硬度に匹敵する単層ナノチューブの超硬度相合成に成功 本プロジェクトでは、常温で単層ナノチューブを55GPaまで塑性変形させながら、圧力媒体を用いず加圧を行った。同時にラマン測定も行い、回収した試料のナノインデンター測定から、硬度を求めた。使用した単層ナノチューブの平均直径は、1.2nmである。また、塑性変形が可能なダイヤモンドアンビルセルを使用した。硬度測定は、加圧された試料を、ダイヤモンドアンビルから取り出し、Nanoindentation System(MTS Sys-tems Corporation)硬度測定装置を用いて行った。Berkovichダイヤモンド圧子を用い、試料に荷重をかけながら、圧子の深さ方向を測定した。単層ナノチューブを加圧して得られた試料の厚さは、約20μmと極めて薄いため、硬度測定では、40nm程度の深さまでの測定を行った。その他の比較物質(ダイヤモンド、cBN、溶融石英)は、深さ1μmまでの測定を行った。硬度測定は、しばしば装置や圧子の形状に依存し、誤差を伴うため、既知物質を用いて、同じ条件で比較測定を行い、単層ナノチューブの加圧試料の硬度を決定した。比較物質の結晶面は、ダイヤモンド単結晶(100)、cBN単結晶(100)および(111)を使用した。図6には、単層ナノチューブを55GPaまで高圧にした後、常圧に戻してダイヤモンドアンビルセルから取り出した試料を上記の比較物質と共にナノインデンテーション測定結果を示した。cBN(111)は、66~73GPaの硬度を得た。この測定結果の巾は、試料の結晶軸に対するBerkovich圧子の配向性により依存するいわゆる硬度の異方性によるものである。cBN(100)面の硬度は、62GPaであった。このときのBerkovich圧子の異方性の効果は、cBN(100)面には、小さかった。窒素フリーのダイヤモンド(100)面は、硬度の異方性により、140~160GPaであり、平均をとり、150GPaとした。溶融石英の硬度は、12GPaであった。高圧下単層ナノチューブの硬度の測定結果は、cBN(100)とダイヤモンド(100)の間の値で、62~150GPaの硬度を与えた。その結果、ダイヤモンドの硬度に匹敵する単層ナノチューブの超硬度相(SP-SWNT)が出現したことを明らかにした。超硬度相単層ナノチューブは、超硬度特性を利用した高周波表面弾性波素子基板、ハイパワースイチング素子、ヒートシンク、工作用チップ、機械用工具などへの応用が期待できる。(5)ナノチューブの成長制御技術の成功 炭素系高機能材料の電子デバイス等への応用が、近年強く望まれている。特に、低電圧で高電流密度が期待できる炭素系高機能材料が電子放出材料として最も期待されている。本プロジェクトでは、電子放出材料への応用を目指して、カーボンナノチューブの成長制御の開発を進めてきた。配列した多層カーボンナノチューブの合成法を開発し、その良好な電子放出特性を確認した。本方法は、薄型壁掛けテレビ等の実用化を大いに促進するものと期待される。また、カーボンナノチューブのデバイス応用を目指して、カーボンナノチューブの微細配列技術の開発を進め、リソグラフィ技術と触媒調製を組み合わせナノチューブ成長の制御技術を開発した。本プロジェクトでは、よりハンドリングが容易で、直径制御が可能な逆ミセル法を用いた。この逆ミセル法は、有機溶媒中、金属塩化物を大量の界面活性剤の存在下で化学的に還元する方法で、活性剤に覆われて比較的安定なナノ粒子が得られる。この方法により、平均直径4 nmのコバルトを含むナノ粒子をシリコン基板上に分散させ、これを触媒としてアセチレンの存在下880 ℃で熱CVD反応を行った結果、20~80nmの外径の多層ナノチューブを基板に垂直に配向させて成長させることに成功し、その良好な電子放出特性も確認した。この配向膜は電界放出型ディスプレイへの応用が期待できる。さらに、本プロジェクトにおいて、鉄-モリブデン系触媒をレジストに混ぜ合わせ、従来のフォトリソグラフィ技術で所定の位置に触媒をパターニングし、そこから単層ナノチューブを成長させることに成功した。(図7)。 今後はナノチューブの成長方向とナノチューブの密度の制御が必要となる。しかしながら現在でも金属的なナノチューブと半導体的なものとを作り分ける方法は確立されていないのが現状であり、この解決が出来ればナノチューブのナノデバイスへの応用が一気に進むものと期待される。●図6:ナノインデンター測定●図7:単層ナノチューブのSEM像。触媒間のナノチューブの橋かけ構造

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