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8産総研TODAY 2013-04写真 3.8×3.4 cm伊藤 智いとう さとし情報技術研究部門研究部門長(つくばセンター)2002年の入所以来、それまでの企業での経験を活かし、グリッド・コンピューティング、クラウド・コンピューティング、グリーンITなどの研究領域において、ビジネス応用や産学官連携、標準化活動を積極的に推進してきました。今後もオープンイノベーションハブを実践し、成果普及を目指すとともに、産業界の発展に貢献していきます。けた場合の検証を行っています。また、データセンターの省電力性を評価する指標として広く知られるPUE(Power Usage Effectiveness)という指標では、サーバーの省電力性を評価できないことと、データセンター全体の消費電力を削減する動機付けにならないという課題があるため、機能別PUEという新しい指標を提案しています。この指標は、より精緻で公平な指標として、省電力改善効果の適切な評価を可能にします。今後の予定今回構築したデータセンターにおいてクラウドサービスやWebサービスなどを1年以上運用し、実運用状態での消費電力の削減効果を評価します。さらに、運用のガイドライン開発やノウハウの蓄積などを進めます。また、つくば以外の北海道や沖縄などの気候環境を人工的に作り出し、湿度や気温を変化させた場合の有効性についても実証テストを行います。これらの実証で得たデータは、共同研究などを通して産業界との共有を図る予定です。次世代モジュール型データセンターを構築従来のデータセンターに比べ消費電力を30 %削減従来型データセンターの問題点近年、情報流通の核となるデータセンターやそれを構成するIT機器の消費電力が急増しています。これまでのデータセンターの建設では、IT機器、空調設備、電源設備、建物について、それぞれ異なる事業者によって異なる目標が設定され、設計・製作・構築されてきたため、データセンター全体としてエネルギーを効率よく利用できていませんでした。各事業者において、省電力の必要性は認識されつつあり、個別の技術としてはエネルギー効率の高い製品の実現が進んでいますが、データセンター全体として見ると消費電力を削減できる余地が多く残っています。次世代モジュール型データセンター私たちは、省エネ技術を結集することで、大幅に消費電力を削減でき、しかも節電運用が可能な次世代モジュール型データセンター*をつくばセンター内に構築しました。これまで開発してきた省エネ基盤技術である、高電圧直流電源技術、サーバー液冷技術、グリーンクラウド運用技術、データセンターモデリング・評価技術に、今回新たに開発した外気導入技術(特許出願中)を組み合わせ、実機による検証の場を完成させました。簡易的な負荷テストでは総消費電力をこれまでに比べ30 %削減(比較のために構築した従来のモジュール型データセンターの総消費電力28 kWに対し次世代モジュール型では19.6 kW以下)できることを実証しました。現在は実運用時の負荷を模擬的にか関連情報:● 共同研究機関日本電気株式会社、株式会社NTTファシリティーズ、三菱電機株式会社、国立大学法人長崎大学● 用語説明*モジュール型データセンター:輸送用コンテナのような独立した箱型のサーバー室を組み立てて構築するデータセンター。短期間での構築が可能。● プレス発表2012年9月26日「省エネ技術を結集した次世代モジュール型グリーンデータセンターを構築」●この研究開発は、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構の支援を受けて行っています。図1 次世代モジュール型グリーンデータセンターの構成図図2 液冷ファンレスサーバー外気導入装置(グリーンユニット)抜熱ポンプユニット(水と冷却液との熱交換器)サーバーラッククーリングタワー直流分電盤入出力盤モジュール2950 mm3000 mm7800 mmHVDC用蓄電池高電圧直流給電(HVDC)装置
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