Vol13-4
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6産総研TODAY 2013-04野間口 有 理事長Thaweesak Koanantakool 委員 (国家科学技術開発庁 長官、タイ)海外からの視点でいくつか申し上げます。米国の主要産業は本国に回帰しつつあります。高度なロボット技術やオートメーション、シェールガスによる安価なエネルギーによるものです。しかし、日本は米国とは状況が違います。日本の産業はそうは望まないでしょう。彼らはイノベーションによって海外にとどまる戦略を採るでしょう。産総研は、その様な海外に出た日本企業をアシストするという重要な役割を担うことができるはずです。企業とのオープンイノベーションにおいては、それが日本産業の再活性化の正道と思います。私は産総研がタイを含めて海外の研究者との共同研究の機会を提供していることに感謝申し上げますが、日本と現地の企業のための海外でのオープンイノベーションハブを創り出すことは、日本産業と産総研にとっても有益でしょう。イノベーションと新しいソリューションは、市場の近くで生じ、公的研究機関と企業のコラボレーションもそこで生じます。また、私は産総研が研究者循環のハブ、アカデミアと産業界の間の循環のハブ、そしてできるなら日本と海外の間の循環のハブになることに期待します。 最後に、ASEANとインドでの新しい成長の波に乗ること。これらの地域では日本のそれとは全く異なる独自の製品が生まれていますが、産総研と日本企業の現有する能力でその市場に対応できるはずです。農業機械化、住宅、省エネルギー、再生エネルギーを含むバイオテクノロジー、食品安全、包装、衛生水準の向上などが一例です。本当に長時間にわたり熱心にご議論いただきまして、ありがとうございました。私どもが取り組んでいることに対してとても勇気づけられる意見をたくさんいただいたと思っていますし、また責任の重大さをあらためて感じさせられた思いでございます。委員からいただいたご意見のうち、2~3について私も意見を述べたいと思います。まず、中小企業を含めた製造業の強化という点については、オープンラボなどを通じて責任を強く感じているところです。技術的なサポートも必要ですし、人材面でのサポートも必要だと思います。経済産業省にはサポーティングインダストリー強化の施策がありますが、それについても産総研が地域の中小企業と連携して、よりよい提案ができるように協力しており、これを強化していきます。それから、既存分野も含めてロードマップをしっかりもつという点について、アカデミアが力を抜いている領域があることは、私も産業界にいるときから強く感じておりました。パワーエレクトロニクスですばらしいデバイスができても、パワーエレクトロニクスの回路を教える講座がなくなっているという現象が日本の大学で起こっておりました。産総研としては、だからといって見過ごすのではなくて、カバーできるところは可能な限りカバーしていきたいと思っています。このように公的研究機関がこれからの社会で果たすべき役割、重要性はますます増していると思っています。課題を「見える化」して、公的研究機関としてのミッ産総研というのは日本の中ではとても有名です。しかし、アメリカの中でAISTと言っても、私が説明した人はわかりますけれども、それ以外の人はなかなかわかりません。これだけの規模、これだけの研究の内容、これだけの日本という国の中での位置づけをもっている研究機関が、世界に対してもっとプレゼンスを示して、なおかつ役割を担うということが重要だろうと思います。私の意見は、産総研の研究者がもっと外に出て、個人名で勝負をしてほしいということです。重要なのは、研究者、技術者の方々がどういう知見をもっていて、その技術に対してどういうビジョンや方向性をもっているかということを相手に伝えることです。それが本当の意味で産総研の実力をアップすることだと思います。2,000人以上の研究者がいて、そういう意識をもって自分の研究成果を、日本国内だけではなく、海外に対してもアピールして、ベンチマークしていこうという気概をもっていただきたいというのが私の今回のコメントです。そのため、野間口理事長には、海外出張のための予算を削らないようにお願いしたい。海外出張をして海外の人とフェース・トゥ・フェースで話すということをしないと、せっかくいい研究、いい考えをもっていても、それは評価されないと思います。人と会って話をするということがとても大事なので、そういう機会を増やしていただくことをお願いすることで、産総研がこれから日本の産業を良くしていく上での役割がはっきりすると思います。Makoto Hirayama 委員 (ニューヨーク州立大学 教授、米国)ます。例えば、若い才能は必須ですが、科学技術が若い世代にとって魅力的でなくなっています。フランスでは企業の経営トップ層に理系出身者が就くことが少なくなりつつあります。こうなると、科学技術よりも財務やマーケティングが大事だと思われてしまいます。いくつかの国で産業競争力が問題になる理由の1つがこれです。これらはフランスでの話であって、私は日本に当てはめる意図はありませんが、これらが最初の問いかけへの回答です。
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