Vol13-4
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16産総研TODAY 2013-04グリーン・タフと呼ばれる火山岩主体の地層は古い方から順に赤島層、門前層、台島層に区分されてきましたが、門前層と台島層は再定義され、両者の間に野村川層が設けられました。これらに重なる海成堆積物は西黒沢層、女川層、船川層、北浦層に区分されていたのですが、それぞれの境界を変更し、船川層を、船川層、南平沢層、西水口層の3層に分けました。台島層の上位の海成堆積物は、日本海沿岸地域に共通する日本海拡大以降の気候変動、海面変動、地殻変動に対応する特徴的な岩相変化に基づいて区分しました。また、熱的影響を考慮した同位体年代測定を実施することで、赤島層と門前層の地質時代も、後期白亜紀と後期始新世もしくは前期漸新世に変更しました。こうした見直しによって、「戸賀及び船川」(第2版)では、少なくとも日本海沿岸の新生界に共通する地層区分を提示することができたと考えています。これが日本の新生界層序区分の標準となるかどうかは、男鹿半島の標準とは異なる地層が分布する他地域での地層区分見直しの中で検証されることになると思います。「戸賀及び船川」(第2版)は、その意味でも目を通して頂きたい地質図の1つです。5万分の1地質図幅「戸賀及び船川」(第2版)の出版新生界標準層序の改訂地質図は変わる5万分の1地質図幅は、国の知的基盤整備の一環として、産総研地質調査総合センターが自ら調査研究を行い、整備・公開している地質情報の基本となる地質図です。今回出版した「戸賀及び船川」地域の主要部を占める秋田県男鹿半島には、これまで日本に分布する新生代の地層(新生界)を区分するときの“標準”とされてきた地層群が分布しています。このため、5万分の1地質図幅「戸賀及び船川」は、1959年に出版されてから長い間多くの研究者・技術者に活用されてきました。しかし、この50年余りの間に、地層の起源についての見方が大きく変わり、地質年代尺度や地質時代区分、岩石の起源と分類などに関する研究も著しく進展しました。このため、地層の区分の仕方だけでなく、地質図に示されている岩石の種類と時代による区分そのものも“時代遅れ”になっていました。そこで、5万分の1地質図幅としては初めてこの図幅を改訂し、第2版として出版することになりました。何が変わったのか大きく変わったのは地層区分そのものです。5万分の1地質図幅「戸賀及び船川」詳細な地質区分が特徴。石油探鉱・採掘井掘削と地震探査で得られた情報、そして詳しい重力異常図を重ね合わせて推定した地下の様子が断面図に示されている。鹿野 和彦かの かずひこ地質情報研究部門客員研究員(併任)現在:鹿児島大学総合研究博物館教授産総研地質調査総合センターの前身である工業技術院地質調査所に入所して以降30年余りの間、5万分の1地質図幅などの調査研究のほか、地質図の数値化・標準化、地層名検索DB構築などに従事するとともに、「火山噴出物の産状と形成過程」に関するさまざまな課題にも取り組んできました。2012年に定年退職し、鹿児島大学総合研究博物館へ異動しましたが、引き続き5万分の1地質図幅の仕事にも従事しています。関連情報:● 地質調査総合センター地質図カタログ:http://www.gsj.jp/Map/index.html
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