Vol13-4
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14産総研TODAY 2013-04性評価手法としての発熱分解エネルギーの測定方法」が公示されました。この中で、約60種類のモデル化学物質を選択し、種々の測定条件で発熱分解エネルギー値を求め、測定条件の影響を検討しました。その結果として、熱量の校正方法、加熱を行う速度(昇温速度)、反応容器の材質などの標準を策定しました。図は測定例です。ジ-tert-ブチルペルオキシドという物質が124 ℃で発熱を開始し、1169 J·g-1の発熱分解エネルギーがあることを示しています。 今回のJIS化により、測定条件の根拠を示すことができました。しかし、腐食性の高い化学物質は金属製の反応容器と反応するため、間違った判断をすることがあります。硝酸が典型的な例です。図に示すように発熱が見られますが、これは硝酸とステンレス容器が反応しているためであり、適正な測定ではありません。この点については、引き続き検討を行っています。 今後の展開発火・爆発危険性を評価する万能な試験法はありません。国連が勧告する試験では、火薬類、有機過酸化物、自己反応性物質で50種類以上の試験法があり、網羅的に調べるためのフローチャートがあります。今後とも、爆発危険性の評価方法の適切な標準を作成するという観点で標準化を進めていきたいと考えています。発熱分解エネルギー測定の標準化化学物質の爆発性に関する安全で簡便な評価方法の確立標準化の背景 化学物質が爆発する危険性は、加熱時の発熱分解反応と密接な関係があります。このため、熱分析装置で発熱分解エネルギーや発熱開始温度を測ることは、爆発危険性を評価するために最も大事な計測です。国連が勧告する危険物の分類試験では、「クラス1:火薬類」の試験を行う必要がない、すなわち、爆発の危険性がないことを示すスクリーニングの際、示差走査熱量計あるいは断熱熱量計を用いた発熱分解エネルギー値が判定基準に用いられています。 国連の危険物分類試験の改訂産総研は、国連の危険物分類試験方法の適正化を進めてきました。反応暴走の危険性の評価に用いられる断熱熱量計は、発熱分解エネルギーの測定には原理的に適切ではないこと、また実際に測定しても示差走査熱量計よりも過小評価になるため、断熱熱量計の使用を除外すべきであることを国連の専門家委員会で提案し、承認されました。また、示差走査熱量計については標準的な評価法について継続的に報告しています。 示差走査熱量計の測定方法のJIS化国連の試験のうち、示差走査熱量計については国内の標準を定めるべくJIS化を進め、2013年1月21日にJIS K 4834「化学物質の爆発危険松永 猛裕 まつなが たけひろ 安全科学研究部門 高エネルギー物質研究グループ 研究グループ長 (つくばセンター) 化学産業で用いられているさまざまな爆発性物質の危険性評価を行っています。また、身近な火薬である花火の研究も手がけています。 秋吉 美也子あきよし みやこ所属は同上主任研究員 (つくばセンター) 入所以来、爆発性物質の熱分解特性の評価を行っています。今回のテーマはこの分野での長年の問題であり、一定の基準ができたことをうれしく思っています。まだ、解決していない問題があるので、これからも研究を継続したいと考えています。 関連情報:● この研究は、経済産業省受託研究基準認証研究開発/国際標準共同研究開発事業および標準基盤研究によって得られた成果によるものです。熱流束(W·g-1)2硝酸温度(℃)0100200300400ジ-tert-ブチルペルオキシド1169 J·g-11163 J·g-1124示差走査熱量計(DSC)装置と測定例

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