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Patent Information13産総研TODAY 2013-4Patent Informationのページでは、産総研所有の特許で技術移転可能な案件をもとに紹介しています。産総研の保有する特許等のなかにご興味のある技術がありましたら、知的財産部技術移転室までご遠慮なくご相談下さい。知的財産部技術移転室〒305-8568つくば市梅園1-1-1つくば中央第2TEL:029-862-6158FAX:029-862-6159E-mail:関連情報:● 参考文献P. Yang, M. Ando and N. Murase: Langmuir, 27, 9535 (2011).国際公開番号 WO2012/161065(国際公開日:2012.11.29)研究ユニット:健康工学研究部門均一なガラス層で覆われた高輝度量子ドット耐久性のある安全な蛍光試薬として応用へ適用分野:●バイオ用蛍光試薬●高演色性の電子材料用蛍光体目的と効果直径数ナノメートルの半導体結晶は量子ドットとも呼ばれ、新たな蛍光体や太陽電池への応用が考えられるため、激しい研究開発競争が続いています。コロイド法で作るCdSe系量子ドットが最も代表的で、凝集を防ぐために適切な材料でその表面を保護する必要があります。私たちはガラスを用いて、カドミウムの溶出を抑え、光照射に対しても耐久性のある蛍光体を作製してきました。今回、量子ドット表面処理法を工夫することで、発光効率を保ちつつ均一な膜厚のガラス層を形成する手法を開発しました。特定の生体物質の目印となる蛍光試薬に用いられるほか、高輝度・高演色性の蛍光体として電子材料分野への応用が期待されます。技術の概要作製直後の量子ドット表面は、有機分子からなる配位子で覆われています。図1(ステップ1)に示したようにこの表面を、アルコキシド(ガラスの原料、Si(OR)4、Rは低級アルキル基)で覆う手法(表面シラン化)を開発しました。そのあと、ステップ2でこれまでの逆ミセル法によりアルコキシドを親水性とし、水滴中に分散、脱水縮合により、量子ドット表面にガラス層を形成します。図2は、表面シラン化をしない場合(a)とした場合(b)について、ガラス層で覆われた量子ドットの形態を示します。表面シラン化がないと、ガラス層が不均一となり、量子ドットが偏在することがわかります。表面シラン化によって、発光効率も保たれることがわかりました。発明者からのメッセージ私たちは、各種の蛍光性量子ドットを合成し、ユニークな構造のガラス蛍光体を作製してきました。ガラスは、その堅牢な網目構造により内容物を保護する性質があります。このため、作製されたガラス蛍光体は、ポリマーコートのものに比べ励起光に対する耐性が強く、量子ドットからの重金属イオンの漏れ出しが極端に少なくなります。今回の手法によれば、膜厚が3 nm程度になっても、均一にコートされます。蛍光試薬はサイズが小さいことも望まれますから、この手法はとても有用です。溶媒である水を蒸発させることで凝集体が得られ、高輝度・高演色性の電子材料用の蛍光体としての用途も期待されます。TEOS: Si-(OC2H5)4CdSe ZnS (TEOS) ZnS CdSe H2O+ TEOS TEOSオレイン酸ステップ1:表面シラン化アンモニア水シリコンアルコキシド加水分解、脱水縮合ステップ2:逆ミセル法シリカガラスアンモニア水攪拌+TEOS油相界面活性剤30 nm(a)(b)30 nm30 nm(a)(b)図1 ガラス層で覆われた量子ドットの作製法ステップ1で表面の配位子をアルコキシドに置換、ステップ2で逆ミセル法により有機溶液中に分散した微小な水滴中に量子ドットを分散、ガラス層を成長させる。図2 作製したガラスビーズの透過電子顕微鏡像(a)表面シラン化しない場合のガラス層被覆量子ドット。ガラスビーズ中に量子ドットが偏在している。(b)今回開発した手法によるガラス層被覆量子ドット。量子ドットは中心部分に位置し、最初の発光効率も保たれる。
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