Vol13-4
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10産総研TODAY 2013-04写真 3.8×3.4 cm長沢 順一ながさわ じゅんいち研究環境安全本部 環境安全管理部 安全衛生管理室総括主幹(兼)ナノシステム研究部門 スマートマテリアルグループ研究グループ付(つくばセンター)分子の自己組織化を利用した機能性有機材料の設計・合成・評価を行っています。これまでより優れた性能をもつ新材料を生み出すことで、省エネルギー・省資源化に寄与し、産業の発展に貢献できるような技術開発を目指しています。の種類によって異なりますが、従来よりも一桁低い0.9~20 g/Lで、多種類のイオン液体をゲル化できます。なお、今回検証に用いたイオン液体(図1下)は、簡単に入手できる市販化合物を使用しました。この技術によって作成されたゲル(図2)は、高い弾性率、自己修復性、優れたイオン伝導度を示しました。得られるゲルは物理ゲル**であり、加熱により液化し、冷却により再度固化します。温度上昇時のゲル-ゾル相転移温度はイオン液体の種類や濃度によって異なり、イオン液体1の場合はゲル化剤濃度30 g/L以上で約70 ℃、イオン液体2ではゲル化剤濃度50 g/L以上で100 ℃以上です。イオン液体3のようにゲル化剤濃度20 g/L以上で125 ℃以上とさらに高温の転移温度を示すものもあり、適切なゲル化剤とイオン液体の選択により、耐熱性に優れているゲルを作製できます。今後の予定電解液の新しい漏れ防止技術として、各種電気化学デバイスへの応用を進めていきます。さらに、添加塩や補助溶媒などを含む混合系で用いられているイオン液体系にも適用できるゲル化剤を目指して、分子構造の最適化に向けた検討を行っていきます。極少量でイオン液体をゲル化する材料イオン伝導度を保持しつつイオン液体を固める添加剤ゲル化技術の課題イオン液体は、陽イオンと陰イオンからなる塩でありながら液体であり、導電性、不揮発性、熱安定性などのユニークな物性をもつため、二次電池などの電解質としての応用などが期待されています。特に、電気化学デバイスへの応用に際しては、導電性を損なわずにイオン液体をゲル化する技術開発が進められています。しかし、これまでのゲル化技術では、ゲル化後に導電性が大きく低下したり、ゲル化操作が煩雑で耐熱性が低くなったりするといった欠点が指摘されており、それらの欠点を根本的に解決するようなゲル化技術はほとんど知られていません。従来よりも一桁低い濃度でゲル化そこで私たちは、多種類のイオン液体を従来よりも少ない添加量でゲル化できる電解質型ゲル化剤を開発しました。今回開発したイオン液体の電解質型ゲル化剤(図1上)は、多くの低分子ゲル化剤と同様に、イオン液体に混合し加熱溶解後、室温で冷却するという簡便な操作で、多種類のイオン液体をゲル化することができます。このゲル化剤の構造的な特徴は、分子間相互作用で重要な役割を果たすジアミド部分のアミン*としてtrans-シクロヘキサン-1,4-ジアミン(図1上の赤色部分)を用いている点です。ゲル化に必要な最少のゲル化剤濃度は、イオン液体関連情報:● 共同研究者吉田 勝(産総研)● 参考文献J. Nagasawa et al.: ACS Macro Lett., 1, 1108-1112 (2012).● 用語説明*アミン:アンモニア(NH3)の水素原子の一部または全部を炭化水素基で置換した化合物。**物理ゲル:共有結合以外の可逆的な相互作用で架橋したゲル。● 主な研究成果2012年11月7日「極少量でイオン液体をゲル化する材料」●この研究開発は、科学研究費助成事業の支援を受けて行っています。図2 型取りしたイオン液体1のゲルゲル化剤50 g/L, 6×6×18 mm図1 今回開発したゲル化剤の構造式(上)と検証に用いたイオン液体の構造式(下)OOHNNHH3CCH3NXH3CCH3NXnX = CI, N(SO2CF3)2, N(SO2F)2, BF4イオン液体 1イオン液体 2イオン液体 3OOOOF3CCF3SSNH3CNNCH3OOOOFFSSNH3CNNCH3OOOOFFSSNH3CNCH3(a)(b)ゲル
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