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9産総研TODAY 2013-02http://unit.aist.go.jp/nri/index_j.html このページの記事に関する問い合わせ:ナノシステム研究部門トンネルFETとは私たちの暮らしを支えるLSIの中には、無数のトランジスタが回路を形成しています。トランジスタの微細化により、扱える情報量が膨大になり、計算機の高速化、家電や携帯電話などの進化・発展にもつながっています。一方でLSIの消費電力も増大したため、持続可能なエコな暮らしを実現するためには、LSIの低消費電力化が大きな課題となりつつあります。これまでのLSIを支えるトランジスタは、ほとんどがシリコンを使ったMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)と呼ばれるものですが、その微細化・低消費電力化の限界を越えるために、新しい原理のトランジスタが研究されています。その一つがトンネルFETとよばれる新しい原理のトランジスタです。トンネルFETは、量子力学で有名なトンネル現象をトランジスタのオン・オフに使うトランジスタで、MOSFETより低電圧での動作が期待できます。図1はトンネルFETの動作概念を示しています。トンネルFETの設計と物理モデルMOSFETにせよ、トンネルFETにせよ、ナノメートルレベルの精度で無数のトランジスタを整然と作る必要があるため、製造条件の最適化と、その結果得られるトランジスタの性能を予測する技術が必要です。そのための計算機CADのことを半導体の世界ではTechnology CADと呼んでいます。これまで使われてきたMOSFETについてはTechnology CADの中に、長年培ってきた物理モデルが組み込まれているため、精度良く計算ができましたが、トンネルFETについてはその物理モデルが不十分なので、新たに開発してTechnology CADに組み込む必要がありました。図2は私たちが開発した物理モデルを組み込み、Technology CADで予測したトランジスタの電流電圧特性を、開発中のトンネルFETの測定結果と重ねたものです。物理モデルを高精度化したことで、実測と同等の予測精度が得られるレベルになりました。今後の展開今後はこの物理モデルを組み込んだTechnology CADを用いて、トンネルFETのデバイス構造を最適化するとともに、第一原理計算という材料の性質を予測するシミュレーションと組み合わせることにより、シリコン以外の材料で性能のよいトンネルFETができるかどうかを探索します。これによりトンネルFETを用いた低消費電力LSIの早期実現を目指しています。またこれからは新デバイスの研究開発と同時に、そのデバイスの物理モデルを開発する必要性が高くなるため、Technology CADと第一原理計算をベースに、そのような要望にこたえるモデリングプラットフォームを構築していく予定です。*トンネルFETについては、最先端研究開発支援プログラム(FIRST)のプロジェクト「グリーン・ナノエレクトロニクスのコア技術開発」(中心研究者 横山 直樹)の成果です。Technology CADによる次世代電子デバイス設計と第一原理計算ナノシステム研究部門エレクトロニクス材料シミュレーショングループ宮みやざき崎 剛たけひで英石いしばし橋 章しょうじ司 ナノデバイスセンター設計評価室福ふくだ田 浩こういち一井いのうえ上 靖やすお朗図1 トンネルFETの構造と動作概念図2 トンネル電流の測定値と、開発した物理モデルの比較。ゲート電圧0 V前後の差異は、測定したデバイスのリーク電流によるもので本質的なものではない。伝導帯トンネル効果価電子帯ソースチャネルチャネル半導体基板ゲート電圧> 0 VOFF状態ON状態ドレインドレインソースeeGateドレイン電流[A/µm]10-710-810-910-1010-1110-1210-1310-1410-1510-16-2-1.5-111.5-0.500.5ゲート電圧[V]実測値本モデル

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