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8産総研TODAY 2013-02http://unit.aist.go.jp/nri/index_j.html このページの記事に関する問い合わせ:ナノシステム研究部門動作電圧の極低電圧化を目指した抵抗変化型メモリーのオン・オフ機構の理論解明消費電力抑制と高速動作を両立する抵抗変化型メモリー不揮発性抵抗変化ランダムアクセスメモリー(Resistance Random Access Memory: ReRAM)は、金属電極で絶縁性酸化物をサンドイッチした構造をしています(図1)。その製造プロセスはシリコンテクノロジーとの整合性が高く、メモリー動作起源となる抵抗変化が高速かつ巨大で、巨大な抵抗変化比を保ったまま極微細化できるという特徴を備えています[1]。ReRAMはビットコスト競争力に優れていることから、次世代メモリーとして実用化に向けた研究開発が活発に行われており、さらなる低消費電力化と高信頼性化を図るために、計算科学的アプローチによる原子レベルでの抵抗変化現象の解明と素子設計のための技術開発のニーズが高まっています。構造最適化から電流電圧特性まで第一原理計算でモデリングこうしたニーズにこたえるため、私たちは、第一原理非平衡グリーン関数法を用いて効率よく電流電圧特性を計算する技術 [2]と高誘電率材料の構造を正確にモデリングする技術を組み合わせることにより、ReRAMの電極とスイッチング領域を一体として扱い、材料構造から輸送特性までを一貫して第一原理計算でモデリングするスキームを構築しました。このスキームのテストを兼ねて、立方晶ハフニア(HfO2)を電極で挟んだモデル構造に対して印加電圧±1 Vの範囲での電流値を計算しました。タンタル(Ta)が電極の場合、ハフニア中の酸素欠損の有無に応じてオンとオフ状態が発生しました(図2(a))。一方タングステン(W)電極ではハフニアに酸素欠損があっても±0.5 Vの範囲でオフ状態のままでした(図2(b))。電子状態解析の結果、タングステン電極とハフニアとの相互作用がタンタル電極を用いた場合の1 %にも満たないことがわかりました。今後の課題これらの結果から、ReRAMの低電圧でのオン・オフ状態はスイッチング領域と電極材料の組み合わせに敏感であることがわかります。しかし、ReRAMのスイッチング機構は科学的にもとてもチャレンジングな問題を含んでおり、この計算の結果はその第一歩にすぎません。今後、アモルファス構造の高誘電率材料における酸素原子の挙動が電流電圧特性に与える影響をモデリングする予定です。ナノシステム研究部門エレクトロニクス材料シミュレーショングループ宮みやざき崎 剛たけひで英、中なかむら村 恒ひさお夫、西にしお尾 憲けんご吾ナノシステム研究部門浅あさい井 美よしひろ博ナノデバイスセンター事業推進室島しま 久ひさしナノデバイスセンター秋あきなが永 広ひろゆき幸図1 ReRAMにおける不揮発性抵抗変化のモデル実際のメモリーセルでは、酸素の供給と蓄積を担う酸化物層と抵抗変化を担う酸化物層の積層構造が採用されており、その間の酸素イオンのやりとりによって不揮発性の抵抗変化が起きる。図2 電極/ハフニア/電極接合に対する電流電圧特性の計算結果(a)電極がタンタルの場合 (b)電極がタングステンの場合酸素供給層/蓄積層抵抗変化層酸素イオン上部電極下部電極高抵抗状態低抵抗状態セットリセット2.01.00.0ー1.0ー2.02.01.00.0ー1.0ー2.0ー1.0ー0.50.00.51.0ー1.0ー0.50.00.51.0バイアス電圧(V)(b)W/HfO2/W酸素欠損なし酸素欠損あり酸素欠損なし酸素欠損あり(a)Ta/HfO2/Taバイアス電圧(V)電流(µA)電流(µA)参考文献[1] H. Akinaga and H. Shima: Proc. IEEE 98, 2237 (2010).[2] H. Nakamura et al.: J. Phys. Chem., C115, 19931 (2011).

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